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プロ野球オールスター戦のチケット転売が横行 求められる対策は? #専門家のまとめ

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:イメージマート)

プロ野球オールスター戦を巡り、転売サイトなどでは観戦チケットの高額転売が横行しています。特に北海道のエスコンフィールドで初めて開催される7月23日の試合が人気です。NPBは主催者の許可がない転売は約款違反であり、身分証明書で本人確認を行ったり、入場を断ったりする場合があると注意喚起しています。こうしたチケットの高額転売を巡る現状や求められる対策について、参考となる記事をまとめました。

ココがポイント

▼チケット不正転売禁止法で処罰されるほか、転売目的を隠してNPB側からチケットをだまし取ったとして詐欺罪に問われる可能性も

チケット不正転売禁止法Q&A(Yahoo!ニュース エキスパート 前田恒彦)

▼プロ野球オールスター戦の観戦チケットを高額転売したとして、実際にチケット不正転売禁止法違反の容疑で逮捕された例もある

チケット不正転売容疑、都職員を逮捕 3200枚転売か(朝日新聞DIGITAL)

▼昨年のファン感ではヤクルトスワローズが転売チケットを特定し、取引停止を求め、座席番号を公表する厳しい転売対策に出た

ヤクルトがファン感「転売チケット」の座席番号公表 他球団も本気の転売対策を(Yahoo!ニュース エキスパート 前田恒彦)

▼ライブチケットなどでも不正転売が問題となっており、デジタル庁がマイナンバーカードで本人確認を行う実証実験を開始

日本シリーズのチケット発売で“争奪戦”に…度々問題となる『不正転売』禁止する法律施行も検挙少ないワケ(東海テレビ)

エキスパートの補足・見解

エスコンフィールドを巡っては、転売サイトなどで「席に座る権利」なるものまで転売されています。例えば「転売ヤー」が4枚連番の電子チケットを確保した場合、当選者名義の親チケットだけは分配できないので、先にほかの3枚分を転売して購入者に分配した上で、残り1枚の親チケットの「席に座る権利」を売りに出しているわけです。

エスコンのオールスター戦では、席に座れる観戦チケットとは別に、球場内に入って飲食店などを利用できる入場チケットも販売されています。「転売ヤー」から親チケットの座席番号を購入した者は、別に入場チケットを確保して球場に入りさえすれば、その席に座って観戦できるというカラクリです。しかも、転売サイトでは、定価2千円の入場チケットですらその5倍程度で転売されているほどです。

チケット不正転売禁止法などの刑罰法規には限界があるし、NPBが単に転売禁止を叫ぶだけでは不正転売の根絶など不可能です。「転売ヤー」から高額で購入してでも良い席で見たい、転売チケットだとバレるはずがないと考える一部のファンもいるからです。

NPBも、抽選販売直後に転売サイトなどで高額転売が行われているチケットについては警察に対して積極的に被害を届け出るほか、当日は本人確認を厳密に行い、身分証明書の提示を原則とするなど、本気で「転売ヤー」の排除に努める必要があります。(了)

元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

元特捜部主任検事の被疑者ノート

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

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