3年で1億円を売り上げた歌舞伎町のコンカフェ 風営法違反で摘発のワケは?
7月17日夜、警視庁が東京・歌舞伎町のコンセプトカフェを摘発し、経営者と店長を逮捕した。女性キャストが無許可でカウンター越しに男性客に対して接待営業を行ったとされる風俗営業法違反の容疑だ。経営者は「納得できない」と否認し、店長は容疑を認めているという。
風営法の「接待」とは?
コンセプトカフェとは、内装やキャストの衣装など、何らかのコンセプトで統一された独自の世界観に基づくカフェを意味し、コスプレ系やアイドル系、アニメとのコラボ系など、様々な業態で営業されている飲食店だ。メイドカフェもその一つであり、一方で男性キャストによる女性客を対象としたメンズコンカフェも人気となっている。
カフェとは言うものの、夜間に営業される店が多く、酒類も提供されている。今回の店も、アメリカンダイナーをコンセプトとし、28万円のワインなどが提供されていたという。
もっとも、風営法は「設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業」を「風俗営業」の一つとし、公安委員会の営業許可を義務付けている。無許可営業の場合、最高で懲役2年、罰金だと200万円以下に処される。
そこで言う「接待」とは「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」を意味する。食品衛生法の「飲食店」としての許可に基づいて営業されているものの、実際には女性店員がカウンター越しに客と長めの会話を交わすガールズバーなどでもよく問題となる話だ。
アウトとセーフの境界線は?
警察庁が全国の警察に示した通達によると、「接待」は特定の客や客のグループに対し、飲食行為に通常伴う役務の提供を超えるほどの会話やサービスなどを行うことだとされている。重要なのは、カウンター越しか否かや客の隣に座っているか否かを問わないし、会話だけでなく、客とのゲームなども含まれるという点だ。
この通達によると、アウトとセーフの境界線は次のようなものとなる。
・特定少数の客の近くにはべり、継続して会話の相手となったり、ビールなどを提供したりするとアウト。
・社交儀礼上の握手の範囲を超え、客の手を握ったり、身体を密着させたりするとアウト。
・カウンター内で単に客の注文に応じてビールなどを提供し、その際に社交儀礼上のあいさつを交わしたり、若干の世間話をしたりする程度であればセーフ。
報道によると、今回の店ではカウンター越しの接待のほか、客席の前で女性キャストがしゃがみ込み、膝立ちで接待していたこともあった。キャストの説明では、警察が店にやってきた場合、客と一緒に座っていると言い逃れできないが、膝立ちであればすぐに立って席を離れられるので、いま飲み物を提供したところだと言ってごまかせるからだという。
なぜこの店舗が摘発された?
とはいえ、現実にはこうした営業形態のコンカフェなど歌舞伎町だけでなく各地に数多く存在する。そうした中で、この店が警察による摘発のターゲットになったのは、次のような理由が挙げられる。
・警視庁が捜査を始めたのは6月であり、もともと未成年の従業員が店に出入りしているという情報がきっかけだった。
・現に今回の一斉摘発の際にも、17歳の少女がキャストとして働いており、補導に至っている。
・警視庁は6月にも接待営業を確認し、店に行政指導を行っていた。
・この店は3年で約1億円を売り上げるなど人気店であり、目立っていた。
・経営者の女性は28歳で、キャストを兼ねており、その背後関係や資金の流れなどの解明を要する。
警視庁は18歳未満の少女らを違法に接待するメンズコンカフェの検挙にも力を入れており、現に5月から6月にかけて複数の店舗が摘発され、経営者らが相次いで逮捕されているところだ。(了)