地方鉄道への導入も想定した自動運転指針を国交省が発表 深刻化するドライバー不足解決の切り札になるか
自動車の自動運転技術の推進については何かと話題になることが多いが、鉄道の自動運転技術の推進については、JR東日本の山手線などで導入が検討されていることなどが報道されている程度だ。
国土交通省では、2018年より「鉄道における自動運転技術検討会」を定期的に開き、昨年2022年9月に「鉄道における自動運転技術検討会のとりまとめ」という資料で今後の指針を発表したことは、ほとんど知られていない。
地方鉄道にも自動運転の導入を想定
鉄道における自動運転は、踏切のない全線立体交差でかつホームドアが完備された、つくばエクスプレスやゆりかもめなどの都市部の路線ではすでに実用化されているが、今回、国交省でとりまとめられたものは、踏切の存在する一般的な鉄道への自動運転の導入を想定したもので、自動運転のための大規模な設備投資が困難な地方鉄道への導入も想定されているという。
国交省では、一般鉄道の自動化レベルをGoA1からGoA4までの4段階に分類。GoA2の運転士が発車の際にボタンを押すなどの列車起動操作のみを行う形態の半自動運転は、すでにつくばエクスプレスや一部の地下鉄で実用化されているが、まとめでは国家資格である鉄道車両の運転免許を持たない前方監視員の乗車を前提としたGoA2.5というレベルが示された。
自動運転技術の踏切のある一般鉄道への導入に当たっては、地方鉄道への導入が想定されるGoA2.5レベルのものでは鉄道車両の運転免許を持たない乗務員による前方監視で、幹線鉄道への導入が想定されるGoA3ないしGoA4レベルのものでは車両のカメラ・センサや、踏切周辺への監視カメラやセンサ設置を強化することで対応を図る方針のようだ。
望まれるGoA2.5レベルの自動運転での地方鉄道の活性化
GoA2.5レベルの自動運転は、国家資格である鉄道車両の運転免許を持たない前方監視員の乗車を前提としていることから必要な設備投資額も抑制でき、比較的容易なのではないだろうか。自動運転の基本的な技術はすでに都市鉄道で確立済みであることから、導入に当たっての技術的なハードルは自動車の自動運転よりもはるかに低いものと考えられる。昨今のドライバー不足を原因とした減便に対しても、十分な解決策となりうるであろう。
特に、鉄道路線とバス路線の廃止が加速し、公共交通機関が崩壊の危機にある北海道では、この自動運転を活用した鉄道路線の再整備で、公共交通の復活があってもよいかもしれない。
(了)