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アジアカップ。グループリーグ突破のオッズは1.01倍。絶対的本命・日本に求められる優勝の飾り方

杉山茂樹スポーツライター
堂安律(写真:岸本勉/PICSPORT)

 昨日、アジアカップが開幕した。しかし本日行われる日本の初戦、対ベトナム戦はテレビ放送がない。3戦目のインドネシア戦、決勝トーナメント1回戦も同様。視聴環境はDAZNに限られる。

 ユーロ、コパ・アメリカ等と同格のれっきとした大陸王座決定戦だ。代表チームのイベントとしてはW杯に次ぐ格式を誇る大会である。驚くべき事態である。従来の概念に基づけば事件と言えるかもしれない。しかしベトナム戦、インドネシア戦に格式を抱けるかと言えばノーだ。負けるはずのない試合。引き分けでもセンセーショナルなニュースになる相手だ。

 驚くべきは英国ブックメーカー各社のオッズで、たとえば最大手であるウィリアムヒル社が日本のグループリーグ通過予想につけたオッズはなんと1.01倍。世界広しと言えど、ここまでの低配当は珍しい。まったくの無風区と言ったも同然である。地上波がゴールデンタイムに中継する価値があるか否かの答えを、この倍率に見て取ることができる。

 日本は圧倒的強者としてアジアカップに臨む。優勝予想でも日本が断トツの本命だ。ウィリアムヒル社の予想では日本は3.25倍の一番人気で、韓国が6倍でこれを追い、サウジアラビア、カタールが7倍で3位タイに位置するという展開だ。コパアメリカに臨むブラジル、アルゼンチンの比ではない。

 だが日本は可能な限りのベストメンバーを招集した。欧州組は26人中23人を数える。シーズンはたけなわで、持ち場を離れることになる選手には、それなりにリスクが生じる。

 たとえば日本代表のキャプテン遠藤航は、リバプールで、スタメン定着なるか微妙なところにいる。代表に呼ばれるためには、所属クラブで結果を残さなければならない。この代表とクラブの関係を考えると、遠藤にとって今回の招集はリスク以外の何ものでもない。

 本当は招集してほしくなかったと内心、密かに思っている選手は遠藤以外にもいるはずだ。冨安健洋、三笘薫、久保建英……。とりわけ欧州カップ戦に出場している選手はそうではないだろうか。にもかかわらず、サッカー協会はFIFA規定を盾に可能な限り招集した。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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