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最高気温の上昇は最低気温の上昇より大きい 関東から西での週末は最高気温が20度前後に

饒村曜気象予報士
早春の秋山郷天池(写真:イメージマート)

南岸低気圧から移動性高気圧

 週初めにほぼ全国的に雨を降らせた南岸低気圧は発達して千島近海に去り、日本列島は西日本から移動性高気圧に覆われてきました(図1)。

図1 予想天気図(左:3月14日9時の予想、右:3月15日9時の予想)
図1 予想天気図(左:3月14日9時の予想、右:3月15日9時の予想)

 週半ばの3月14日は、上空に寒気が入って大気が不安定となっている北日本と北陸では雲が多く、雨や雪となっていますが、その他の所は概ね晴れる見込みです(図2)。

図2 各地の天気予報(3月14日の予報)
図2 各地の天気予報(3月14日の予報)

 最高気温は、雲が多い北陸や北日本も含めて、全国的に平年並みか平年より高くなるという予報です。

 ただ、平年並みの気温といっても、1月下旬の一番寒い時に比べればかなり高くなっています。春は最高気温の上昇は、最低気温の上昇より大きく、朝晩の冷えが残っても日中の気温が高くなり、1日の寒暖差が大きくなるという特徴があります。

 例えば、東京都心では、1月下旬の頃の平年値に比べ、最低気温が2.9度の上昇に比べ、最高気温が3.6度の上昇となっています。

今冬の冬日、真冬日の推移

 3月13日の最低気温が0度に満たない冬日は373地点(気温を観測している全国914地点の約41パーセント)、最高気温が0度に満たない真冬日は103地点(約11パーセント)でした。

 週初めに比べれば冬日や真冬日を観測した地点数は増えていますが、今冬一番の強い寒気が南下してきた令和5年(2023年)12月22日の冬至寒波の頃は、冬日は約85パーセント、真冬日は約29パーセントでしたので、これに比べれば、かなり少ない観測地点数です(図3)。

図3 真冬日、冬日、夏日の観測地点数の推移(2023年12月1日~2024年3月16日、3月14日以降は予想)
図3 真冬日、冬日、夏日の観測地点数の推移(2023年12月1日~2024年3月16日、3月14日以降は予想)

 冬至寒波や、その後の1月上中旬寒波、1月下旬寒波では、一週間程度は強い寒気が南下していましたが、2月中旬以降は寒気の南下が長続きしなくなってきました。

 今週末は、高くなってきた平年値よりさらに高くなり、関東から西では、最高気温が20度前後まで上昇する見込みです。

今冬の東京都心の最高気温と最低気温の推移

 今冬の東京都心は、令和5年(2023年)12月上旬までは極端に気温が高い日もあったのですが、冬至(12月22日)寒波以降は、それまでの極端に気温が高い日はなかったものの、気温は高めに推移していました。

 しかし、令和6年(2024年)2月中旬になると季節外れの暖かさとなり、2月20日に23.7度と、2月としては記録的な暖かさとなりましたが、その後気温が急降下しました(図4)。

図4 東京の最高気温と最低気温の推移(3月14日~20日は気象庁の予報、3月21日~29日はウェザーマップの予報)
図4 東京の最高気温と最低気温の推移(3月14日~20日は気象庁の予報、3月21日~29日はウェザーマップの予報)

 2月23日の天皇誕生日を含む三連休の気温は平年より低くなりましたが、三連休後は、ほぼ平年並みに戻っています。

 しかし、3月5~6日と8日に、南岸低気圧が続けて通過し、気温が大きく下がっています。特に、2回目の8日のときは、4時40分から7時10分まで雪が降り、1センチの積雪を観測しました。

 太平洋側の南岸低気圧による雪は、「春を告げる雪」と呼ばれることがありますが、その後の気温上昇をみると、3月8日の雪は、まさに春を告げそうな雪です。

 来週は一時的に気温が下がって平年より低くなりますが、雪を降らせるような真冬の寒さではありません。

 真冬の寒さではありませんが、体に堪える大きな気温変化の日々が続きますので、気象情報を利用し、こまめな服装調節などで体調維持に努めてください。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図2の出典:ウェザーマップ提供。

図3出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図4の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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