お金に強いのはどこの県民?そもそも金融リテラシーとは?
お金との付き合い方にも県民性はあるのでしょうか? 最近よく聞く金融リテラシーという言葉。金融リテラシーが高い人はお金に強いといえそうですが、今の時代に必要な金融リテラシーとはなんでしょう? 全国を対象に行われた金融リテラシー調査の結果から、その内容や正答率が高かった都道府県の順位を紹介します。
金融リテラシーは単なる知識ではない
日本では、海外とも比較可能な金融リテラシー調査が、2016年から3年おきに行われています。調査結果の継続性を確保するために、設問は毎回同じ53問で構成されています。「家計管理」、「生活設計」、「金融知識」、「外部の知見活用」の4つの分野にまたがっていて、知識のみならず、計画的に家計を運営しているかや、金融知識をどこから得ているかなども問われます。
「金融知識」は、「金融取引の基本」、「金融・経済の基礎」、「保険」、「ローン・クレジット」、「資産形成」の5分野で、大人になったら直面するお金に関する様々な判断の際に必要な知識となっています。
まずは、どんな設問があるか、いくつか抜粋してみました。あなたは答えられますか。どれを選択しますか?
金融リテラシー調査の設問は?
以下は、53問の中から抜粋した問と選択肢です。
問:平均以上の高いリターンのある投資には、平均以上の高いリスクがあるものだ。
選択肢:正しい、間違っている、わからない
問:10万円投資をすると、半々の確率で2万円の値上がり益か、1万円の値下がり損のいずれかが発生するとします。あなたなら、どうしますか。
選択肢:投資する、投資しない
問:過去に1か月の生活費を超える金額のお金を運用したことがありますか。
選択肢:資産運用を行った、資産運用を行わなかった
問:請求書の期日に遅れずに支払いをする
選択肢:あてはまるを1、あてはまらないを5として5段階の中から1つ選択してください
問:1か月の支出の金額を把握していますか
選択肢:把握している、把握していない
問:病気、失業、不景気等の万が一の事態に備えて、3か月分の生活費を確保してありますか。
選択肢:確保している、確保していない、わからない
問:インフレ率が2%で、普通預金口座であなたが受け取る利息が1%なら、1年後にこの口座のお金を使ってどれくらいの物を購入することができると思いますか。
選択肢:今日以上に物が買える、今日と全く同じだけ物が買える、今日以下しか物が買えない、わからない
問:金利が上がったら、通常、債券価格はどうなるでしょうか。
選択肢:上がる、下がる、変化しない、債券価格と金利の間には何の関係もない、わからない
問:10万円の借入があり、借入金利は複利で年率20%です。返済をしないと、この金利では、何年で残高は倍になるでしょうか。
選択肢:2年未満、2年以上5年未満、5年以上10年未満、10年以上、わからない
正誤がない、考え方や行動に関する設問がかなり含まれています。都道府県別の順位は、このうち正誤問題25問の正答率をもとに付けられます。
日本人の金融リテラシーはこの数年横ばい
正答率の平均は、56%程度で、過去3回ほぼ変わらず横ばいです。つまり、日本人の金融リテラシーは数年前からあまり向上していないということでしょうか?
2022年4月から高校の授業で投資を含む金融を教えるようになりました。調査の対象は18歳~79歳の個人。今後は若い人の金融リテラシーが向上することを期待します。
ちなみに、年齢が高くなるほど、また金融・経済の情報を見る頻度が高い人ほど正答率は高くなります。海外との比較では、OECD調査加盟国のうち上位10か国と比べて、知識面では「インフレ」、行動面では「お金への注意」が見劣りする、つまり点数が低い結果となっています。
1位は同率で島根県と奈良県
さて、では都道府県別の順位です。
2022年調査の上位10位は次の通り(カッコ内は前回の順位)。
1位 島根県、奈良県(8位、23位)
3位 香川県(1位)
4位 千葉県(12位)
5位 愛媛県、長野県(37位、2位)
7位 栃木県(45位)
8位 茨城県(29位)
9位 東京都(20位)
10位 滋賀県、兵庫県、神奈川県(24位、11位、9位)
前回とはけっこう順位が入れ替わっています。
前回(2019年)47都道府県のうち下から3番目の45位だった栃木県は7位に大躍進。全体的に全国平均よりも点数が高いのですが、特に「家計管理」、「生活設計」、「保険」、「資産形成」の点数が順位を押し上げています。県を挙げた取り組みなどがあったのでしょうか?
愛媛県も37位から5位と順位を上げています。「家計管理」、「生活設計」、「ローン」の点数が全国平均よりも高いのが特徴です。
東京都は若い人の「金融・経済の知識」が高い
大都市に暮らす人は金融リテラシーが高そうな気がしますが、東京都は9位でした。ただし前回は20位ですから順位を上げています。東京都は比較的まんべんなく全国平均を上回っていますが、特に「金融・経済の知識」、「ローン等」、「外部の知見の活用」の点数が高いのが特徴です。「金融トラブル経験者」の割合が全国平均に比べて少ないのは、「金融・経済の知識」、「外部の知見の活用」が高いからかもしれません。
もう1つ東京都の特徴は、18歳から29歳の若い世代の正答率が1位と高いことです。東京の若者はお金についてしっかりしているようです。ちなみに、30歳から59歳は7位、60歳から79歳は5位と、東京はどの世代も正答率が高い結果です。
京都・大阪・福岡は順位が下がる
対する西の都、京都府は22位(前回13位)、大阪府は35位(前回25位)、九州の都市、福岡県は39位(前回25位)と残念ながら順位を下げています。
さて、下位3県は、45位が青森県(前回33位)、46位が佐賀県(46位)、47位が沖縄県(47位)。沖縄県は2回連続の最下位です。
いかがでしたか。自分の金融リテラシーがどれくらいか気になった方もいることでしょう。
調査を行った「金融広報中央委員会」(事務局 日本銀行情報サービス局内)のサイトでは、金融リテラシー調査をもとにした「金融リテラシークイズ」も掲載しています。金融力チェックを兼ねてチャレンジしてみませんか。
https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/literacy_chosa/literacy_quiz/