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オートバイのあれこれ『過酷な耐久レースで実証されたカワサキ・Z1の信頼性』

Rotti.モトエンスー(moto enthusiast)

全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。

今日は『過酷な耐久レースで実証されたカワサキ・Z1の信頼性』をテーマにお送りします。

現在も歴史的名車として多くのバイクファンから厚く支持されているカワサキの「Z1」こと『900SUPER4』。

▲日本のバイク・ヒストリーを語るうえで外せない存在。それがZ1
▲日本のバイク・ヒストリーを語るうえで外せない存在。それがZ1

今はもう、Z1をモータースポーツ(レース)と関連づけて語られることは少ないように思いますが、実はZ1のパフォーマンスは、世界中の一般ライダーを虜にしただけでなく、レースの世界でもその優秀さを大いに発揮しました。

▲Z1の空冷4気筒エンジンを使って製作されたエグリのマシン。「EK9」とも呼ばれた
▲Z1の空冷4気筒エンジンを使って製作されたエグリのマシン。「EK9」とも呼ばれた

上の画像のバイクは、『EGLI Kawasaki 1000』という耐久レース用マシン。

1974年(昭和49年)のヨーロッパ耐久選手権を制覇し、フランスのボルドール24時間耐久レース、スペインのバルセロナ24時間耐久レースなどでも優勝を飾った伝説的なレーサー車両です。

このマシンに、なんとZ1のパワーユニットが用いられていました。

スイスのフレームビルダー・EGLI(エグリ)社はZ1のエンジンに可能性を感じ、レース仕様にチューニング。

排気量も998ccまで拡大し、パフォーマンスアップを図っていました。

▲燃料タンクとカウルの隙間から「見覚えのある」ツインカムヘッドが見える
▲燃料タンクとカウルの隙間から「見覚えのある」ツインカムヘッドが見える

そして、そのチューンドエンジンを自社製作のオリジナルフレームへ搭載。

サスペンションや足まわりのパーツもレース向けに改造して、この黄色いレーサーを完成させました。

長時間ハイスピードで走り続ける耐久レースでは、エンジンの頑丈さがひじょうに重要なポイントとなるわけですが、Z1のエンジンはチューニングによる負担増にも耐え、世界トップレベルの各耐久レースにおいてエグリ社へいくつも勝ち星をプレゼントすることになりました。

▲フルカウルで覆われており、エグリ製フレームを外から眺めることはできない
▲フルカウルで覆われており、エグリ製フレームを外から眺めることはできない

もちろん、エグリフレームをはじめとする各部の完成度の高さもキーファクターではあったでしょう。

ただ、過酷な耐久レースにおけるこれほどまでの活躍は、やはりZ1のエンジンの素性(品質)の良さを抜きにしては語れません。

フレームや足まわりの性能は、エンジンが正確に回りバイクが走り出して初めて発揮されるものですからね。

Z1のエンジンが単に先進的・高性能なだけではなく、信頼性も抜群であることを実証してみせたのが、このEGLI Kawasaki 1000だったといえるでしょう。

▲先進的で高性能、そして頑丈で整備性も優秀。非の打ちどころの無い名機だ
▲先進的で高性能、そして頑丈で整備性も優秀。非の打ちどころの無い名機だ

ちなみにこのマシンを駆っていたのは、フランス人のジョルジオ・ゴディエ氏とアラン・ジュヌー氏。

オートバイに関して詳しい人であれば、「ゴディエ・ジュヌー」というワードを聞いたこともあるかと思います。

そう、ゴディエ・ジュヌーは、この2人が立ち上げたカスタムバイクビルダーですね。

ゴディエ・ジュヌーはカワサキのバイクをベースにカスタム車を作るメーカーとして、70年代後半以降発展していくこととなりました。

画像引用元:川崎重工

モトエンスー(moto enthusiast)

バイクを楽しむライター。バイク歴15年で乗り継いだ愛車は10台以上。ツーリング/モータースポーツ、オンロード/オフロード、最新バイク/絶版バイク問わず、バイクにまつわることは全部好き。

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