オートバイのあれこれ『過酷な耐久レースで実証されたカワサキ・Z1の信頼性』
全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。
今日は『過酷な耐久レースで実証されたカワサキ・Z1の信頼性』をテーマにお送りします。
現在も歴史的名車として多くのバイクファンから厚く支持されているカワサキの「Z1」こと『900SUPER4』。
今はもう、Z1をモータースポーツ(レース)と関連づけて語られることは少ないように思いますが、実はZ1のパフォーマンスは、世界中の一般ライダーを虜にしただけでなく、レースの世界でもその優秀さを大いに発揮しました。
上の画像のバイクは、『EGLI Kawasaki 1000』という耐久レース用マシン。
1974年(昭和49年)のヨーロッパ耐久選手権を制覇し、フランスのボルドール24時間耐久レース、スペインのバルセロナ24時間耐久レースなどでも優勝を飾った伝説的なレーサー車両です。
このマシンに、なんとZ1のパワーユニットが用いられていました。
スイスのフレームビルダー・EGLI(エグリ)社はZ1のエンジンに可能性を感じ、レース仕様にチューニング。
排気量も998ccまで拡大し、パフォーマンスアップを図っていました。
そして、そのチューンドエンジンを自社製作のオリジナルフレームへ搭載。
サスペンションや足まわりのパーツもレース向けに改造して、この黄色いレーサーを完成させました。
長時間ハイスピードで走り続ける耐久レースでは、エンジンの頑丈さがひじょうに重要なポイントとなるわけですが、Z1のエンジンはチューニングによる負担増にも耐え、世界トップレベルの各耐久レースにおいてエグリ社へいくつも勝ち星をプレゼントすることになりました。
もちろん、エグリフレームをはじめとする各部の完成度の高さもキーファクターではあったでしょう。
ただ、過酷な耐久レースにおけるこれほどまでの活躍は、やはりZ1のエンジンの素性(品質)の良さを抜きにしては語れません。
フレームや足まわりの性能は、エンジンが正確に回りバイクが走り出して初めて発揮されるものですからね。
Z1のエンジンが単に先進的・高性能なだけではなく、信頼性も抜群であることを実証してみせたのが、このEGLI Kawasaki 1000だったといえるでしょう。
ちなみにこのマシンを駆っていたのは、フランス人のジョルジオ・ゴディエ氏とアラン・ジュヌー氏。
オートバイに関して詳しい人であれば、「ゴディエ・ジュヌー」というワードを聞いたこともあるかと思います。
そう、ゴディエ・ジュヌーは、この2人が立ち上げたカスタムバイクビルダーですね。
ゴディエ・ジュヌーはカワサキのバイクをベースにカスタム車を作るメーカーとして、70年代後半以降発展していくこととなりました。
画像引用元:川崎重工