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関東の梅雨入り 天気図からみた傾向

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
2014年6月5日 関東甲信・北陸地方で梅雨入り

きょう(5日)午前、関東甲信地方の梅雨入りが発表されました。平年よりも3日早い梅雨入りです。

今週は、雨の降り出しに合わせるかのように、各地方が梅雨入りしていて、太平洋側では大雨となっている所があります。これまでの雨が春仕様だったとすれば、これからは夏仕様の雨の降り方です。一度に降る雨の量が格段に増えるので、いよいよ災害に注意しなければなりません。

梅雨入りに梅雨前線は必要か

先日、ある質問が。「梅雨前線がないのに、梅雨入りってするのでしょうか?」

梅雨前線という言葉がよく知られているので、天気図をみて不思議に思ったようです。

梅雨はいつもより、くもりや雨の日が多くなる時期のことをいい、春から夏へ季節の移り変わりを示します。だから、今日から、明日からといった明確な日付けで考えるのは少しおかしいのです。なんとなく、雨の日が増えるというのが自然です。

また、くもりや雨の日が増える理由に、特別な決まりはなく、梅雨前線でもいいし、今年のように動きの遅い低気圧でもいいのです。梅雨入りの発表に、あれこれ決まり事を設けても、季節感とは離れてしまいます。

梅雨入りの天気図からみた梅雨の傾向

そうはいっても、天気をなりわいにしていると、ついつい細部にこだわってしまいます。過去、梅雨入りが発表された日の天気図を調べてみました。すると、2つのパターンがあるようです。

低気圧型の梅雨入り(2006年6月9日)
低気圧型の梅雨入り(2006年6月9日)

一つは西から低気圧がやってきて梅雨入りするパターン。

これを仮に「低気圧型」と呼ぶことにします。九州、四国、近畿と順次、西日本から梅雨入りの発表があります。今年はこのパターンのようで、過去の例をみても、最も多くなっています。

この「低気圧型」では、梅雨入り後、数日間は梅雨らしい天気が続くものの、低気圧が通り過ぎたあとは、前線が南に下がってしまうため、早めに梅雨の晴れ間がやってきます。しばらくは、晴れる日、雨が降る日が交互になり、あまり梅雨らしくない天気もあります。

台風4号で梅雨入り(2005年6月10日)
台風4号で梅雨入り(2005年6月10日)

一方、夏の高気圧が強まり、梅雨前線が北上して梅雨入りするパターンもあります。

これを「前線北上型」としましょう。このパターンでは梅雨前線が本州のすぐ近くに停滞するため、梅雨らしい天気が長く続き、気温も高くなるのが特徴です。

また、珍しい例としては2005年、台風によって梅雨入りが発表されたことがあります。

今年の梅雨を天気図だけで、考えるのは少し乱暴すぎると思いますが、少なくとも、今ある低気圧が通り過ぎると、天気が回復するでしょう。とくに、西日本ほど晴れ間が広がりやすいかもしれません。

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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