「自尊心」と「プライド」と「矜持」の違いは?
【似ているけれど意味が違う言葉】その2
今回は、「自尊心」「プライド」「矜持」の違いについて掘り下げてみました。
1.自尊心
自尊心は「自分をかけがえのない存在として、肯定的に受け止めている感情」です。周りの人にどう思われるかよりも、「自分はどう思っているか」が重要になります。
自尊心が高い人は、自分の強さも弱さも受け入れています。ありのままの自分を理解し、肯定的に受け入れているので、失敗を恐れずチャレンジできますし、もし失敗したとしても、それを否定的に捉えるのではなく、失敗と向き合い成長の糧にします。
また自尊心が高い人は、ありのままの自分を受け入れているので、自分を大切にできます。
自分を大切にできている人は、他者と比較して劣等感を抱くことも少なく、周囲からの評価にも振り回されないので、フラットに人と関わることができます。自尊心が高い人はコミュニケーション力も高いと言えるでしょう。
2.プライド
プライドも、自分自身に誇りを持つ感情という意味では、自尊心とほぼ同義で使われることがありますが、自尊心とプライドの大きな違いは、「ありのままの自分を受け入れているかどうか」です。
プライドが高い人は、自分の弱さを受け入れられません。自分の強い部分だけを見て自信を保っています。自分の弱さを隠すために強く振舞ったり、強い自分を維持するために人に頼ることができません。
自分をありのまま理解しているのが自尊心。
自分を高く見積もっているのがプライド。
自分が自分をどう思っているかを大切にするのが自尊心。他者と比較して自分を優位だと感じるのがプライド。
自分の弱さを受けているのが自尊心。
弱さを受け入れられず強い部分だけを見ているのがプライド。
と言えそうです。
3.矜持
「矜持(きょうじ)」とは、自分の能力や実績、功績を誇りに思うこと。
「矜」は「矜る(ほこる)」と読んで「自分の力量を自負する」という意味があります。
自分の持っている能力や身につけてきた技術、これまでの長年の経験などが拠り所となって、他人との比較でも揺らぐことのない確固たる自信につながっています。
プライドも矜持も、自分の能力に自信を持っている点については同じですが、
矜持が、経験や実績など自分自身が持っているものや培ってきたものを根拠としているのに対し、プライドは、他者との比較や人からの評価などを拠り所としている点に違いがあります。
まとめ
◆自尊心:自分をかけがえのない存在として、強さも弱さもありのまま受け入れている感情
◆プライド:自分に自信と誇りを持ち、他者からも評価されることを求める感情
◆矜持:自分の能力や経験、実績に対して誇りを持っていること
こうして比較してみると、自分が日頃抱いているのはどの感情なのか、見えてくるのではないでしょうか。
日常なんとなく使っている、似ているけれど意味が微妙に違う言葉を調べてみると、その物事の本質が垣間見えることがあります。これからも色々な言葉の違いを取り上げていこうと思っています。