【わかる】韓国大統領選 きょう投開票 二大候補「対日・対北発言」&「プロフィール」まとめ
9日に投開票が行われる韓国大統領選挙。日本のニュースでもこの話題は報じられるだろう。
改めて「歴史的激戦」といわれる2大候補の横顔、そして対日・対北関係発言のまとめを。
■”記号”1番※
李在明(イ・ジェミョン)
1964年12月22日生まれ(57歳)。
中央(チュンアン)大学法学部法学科卒。
元弁護士(1989年~2010年)、京畿道城南(キョンギド・ソンナム)市長(2010年7月1日~2018年3月15日)、京畿道知事(2018年7月1日~2021年10月25日)。
※韓国の主要な選挙では、予め候補者名が印刷された選挙用紙に判を押す「記号式」で行われる。大統領選挙の場合、記号(キホ)と呼ばれるその順序は、その時点での国会の議席数順で決まる。
キャッチフレーズは“危機に強い経済大統領”
最大の売りは「市長」「道知事」時代の実績。
ソウル近郊の城南市長時代には市立医療院建設、高齢者のための住宅リモデル、公共の出産後ケアセンター設置などを実行。この時代の公約履行率は94.4%だった。また市長室を2階に移し、現場との風通しをよくする姿勢などが評価された。
京畿道知事時にはコロナ危機の状況で政府とは別に道民に給付金を支給し、クラスタが発生した新興宗教団体へは本人が直接出向いて信者名簿を入手。いまやソウルより人口が多い近郊エリアの長として行動力を示した。
人権派弁護士出身でもある。司法修習生の頃、故廬武鉉氏のスピーチに感銘を受け道を定めた。
大統領選挑戦は今回が2度目。前回の2017年大統領選では、同じく盧氏の薫陶を受ける文在寅氏などに敗れ、党代表となれなかった。一時は文氏を強く攻撃するなど不仲も囁かれる。
スキャンダルの多さが最大の弱み。土地不正買収疑惑、女優との不倫疑惑、公職選挙法違反、職権乱用、殺人犯の甥の弁護、飲酒運転、息子の不法賭博など。
苦学の人としても知られる。少年工として働きながら中高の卒業資格を取得。1986年の大学入学時、一人だけ学生服で入学式に参加した。母がなけなしの金で買ってくれたものだった。母親は当時、韓国で10年ほど前から大学生の学生服の習慣が消えていたことを知らなかったのだという。自身は「中高に通っていないから、うれしい」と喜んで着用したエピソードが伝えられている。
「サイダー」(スカッとさせてくれる)の別名があるほど強い発言でも知られる。これは「権力行使は残忍さを伴う。死ぬほど戦って壊さなければならない」との考えから。
李在明氏 対日関係の主要な発言
城南市長在職時の2016年12月16日、 仁川大学フォーラムにて日本人記者の質問に答える。
2021年11月10日、討論会にて。
2021年11月25日、ソウルプレスセンターでの外国人記者団会見時に。
同上。
同上。
同上。
2021年12月11日、慶尚北道の戦争記念館を訪問した際の演説で。
南北関係の主要な発言
2016年11月、城南市長在籍時に保守系メディア「月刊朝鮮」とのインタビューにて。
2020年12月30日、新聞放送編集人協会にて。文在寅大統領の北朝鮮政策を批判しながら。
2月23日の遊説中に。
2月24日の遊説中に。
■”記号”2番
尹錫悦(ユン・ソンニョル)
日本メディアでは「ソクヨル」「ソギョル」とも
1960年12月18日生まれ (61歳)。
ソウル大学大学院法学部修士課程卒。
元ソウル中央地方検察庁検事長(2017年5月~2019年7月)、元韓国検察総長(2019年7年25日~2021年3月4日)。
キャッチフレーズは“国民が育てた尹錫悦 明日を変える大統領”
文在寅政権時代の元検察総長にして、ソウル中央地検長。
「近年の韓国社会を騒がせた”大物の不正”の多くを捜査した」点がセールスポイント。
捜査・身柄拘束決定を担当した人物は「李明博」「朴槿恵」「サムスン副会長」と大物揃い。また日本のワイドショーでも知られた「たまねぎ男(チョ・グク元法相)」の不正疑惑担当検事としても知られた。文在寅政権時代に検察総長に任命され、同時に政権の「司法改革(強すぎるとされる権力の縮小化)」を巡って対立した人材でもあるのだ。
党(最大野党の「国民の力」)は2017年大統領選、2020年国会議員選で革新系の現与党に”連続大敗”。伝統ある最大保守党でもある同党が”徹底的に変わる”という意思のもと、政治経験のない氏に白羽の矢が立った。
2021年6月29日の出馬宣言時には「公正と常識で国民とともに作る未来」のキャッチフレーズを掲げた。まだこの頃は「国民の力」に入党はしていなかったものの、その内容は”まるで民主党”。結局は1か月後に入党し、最大保守党の候補となった。党側は何よりも「偉そうにしていた朴槿恵大統領」のイメージ払しょくが重要だったのだ。
”ぶっとび人事”であるがゆえ、政治経験不足が最大のネック。実際に演説時の失言の多さにそれが現れており、陣営側も頭を悩ませた。一時は党側との対立も盛んに報じられたほどだ。
敵陣たる左派系メディアは出馬表明した昨年6月からのその失言数を「95」とも紹介する。日本関連でも「東日本大震災の際、福島の原発から放射能は漏れていない」「朝鮮半島の有事の際には日本の軍隊が介入しうる」などがある。また対北軍事関連で強気の発言をしてきたが、本人は徴兵免除となった点も男性同士は少し気にかけるところか。
一方で3月3日に第3の候補だった安哲秀氏と合流し、野党一本化に成功。数字上(あくまで数字上は)有利、との見方もある。
父は延世大学の応用会計学の教授だったため、同大学の近くでかつ「ホンデ」もあるソウルのヨニ洞で育った。ソウル大在籍時から9浪を経て司法試験合格。その間に同大院で法関係の修士号を取得した。じつは”社会に出た”のは30代になってからだ。司法浪人時代は「酒と人好き」で知られたという。
公式ツイッター(フォロワー1万人)のプロフィール欄には「4ワン3ニャンのパパ」と綴り、「ペット専アカ」に。「料理が得意」ともしている。
尹錫悦氏 対日関係の主要な発言
2021日6月29日 出馬表明時に。
2021年11月16日相星孝一駐韓日本大使との面会時に。
2月3日 放送3社合同のテレビ討論会にて。
南北関係の主要な発言
2019年7月5日、韓国国会の人事聴聞会(高位公職の就任内定者について適切かどうか確認する公聴会)にて。
2021年11月12日、韓国プレスセンターで行われたソウル外国人記者クラブでの会見時に。
2022年1月11日、自身の新年記者会見にて。
1月22日、北朝鮮メディアから「辞退せよ」との強い声が挙がったことに対し、SNSにて。
2月3日、放送3局による第一回テレビ討論会にて。1月11日の発言を指摘され。
3月の遊説時に。
(了)