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本当に盛り上がる?「ハロウィン経済効果」が伸びない理由

横山信弘経営コラムニスト
リーズナブルな非日常を味わえるのが、ハロウィンの良さ(写真:アフロ)

ハロウィンが盛り上がっています。昨年(2014年)の経済効果が1100億円で、バレンタインの1080億円を超えたという報道がありました。(一般社団法人日本記念日協会の調べ)今年は1200億円をも超える勢いとのこと。クリスマス(6740億円)に次ぐ国民的行事に育った感があるわけですが、この盛り上がりは、いつまで続くのでしょうか? 今後もずっとハロウィン市場は伸び続けていくのでしょうか?

消費の切り口から考えてみましょう。まずは消費する「人」の区分から。

■「クリスマス」の対象 → 家族、恋人、友人、職場の同僚……等

■「バレンタインデー」の対象 → 恋人、職場の同僚……等

■「ハロウィン」の対象 → 家族、恋人、友人、職場の同僚……等

消費する「人」の区分で考えると、ハロウィンはクリスマスに似ています。バレンタインデーは、友人や職場に「義理チョコ」を渡すことはあっても、それほど大々的なイベントとして盛り上がることはありません。家族で家を飾り付け、ケーキを買ってお祝いしたり、友人仲間で集まってパーティすることも考えづらい。バレンタインデーは恋人同士がひっそりと楽しむのが基本的な楽しみ方だと思います。したがってイベントの特性で考えた場合、ハロウィンをバレンタインデーと比べるのは難しい。認知度や参加者の規模は段違いですが、やはり市場の傾向としてはクリスマスと比べることが正しいかと思います。

次に、消費する「物」に焦点を合わせてみましょう。ハロウィンで消費する内訳をアメリカの実態と照らし合わせて分解してみると、

■ コスチューム費用

■ お菓子などの食費

■ 装飾品

……等となるようです。この内訳を見ることで、クリスマスやバレンタインデーと、ハロウィンとの違いが鮮明になると思います。ハロウィンで消費する「物」そのものが、それほど高価ではない、ということがポイントです。消費というのは、突き詰めると「単価×個数」の集合体。ハロウィンの認知度が高まり、イベント参加者が増えれば増えるほど消費の「個数」は増えますが、もう一つの「単価」が固定され続ければ、経済効果は限定的です。

クリスマスやバレンタインデーは、恋人にとっては、やはり特別な日。どんなに生活に余裕がなくても、所得が増えなくても、

「クリスマス(バレンタインデー)ぐらいは、奮発しよう」

と思うもの。プレゼントにかけるお金も、食事をする場所も、普段よりも特別感を演出するために、どうしても消費する物やサービスの「単価」は上昇します。クリスマスであれば恋人のみならず、家族でもそのような高揚感を味わいたいでしょうから、質素よりは豪華、ケチケチよりも大盤振る舞いしたくなるものです。

いっぽう、ハロウィンにはそのような「高価」「高級」「格式」「ハイグレード」「ステータス感」といったキーワードは似合いません。お手頃価格のハロウィングッズで仮装し、家を飾り立て、リーズナブルな非日常を味わえるのが、ハロウィンの良さでしょう。「経済効果」という言葉でくくると、他イベントのような期待を抱くのは早計と考えます。

何より、クリスマスやバレンタインデーにはある「プレゼント渡し」という要素がないのが痛い。仮装も装飾品も、ハロウィングッズは一度買ってしまえば、翌年以降も使えます。よほど積極的な人でない限り、毎年新しい仮装をしようとは思わないことでしょう。しかしクリスマスやバレンタインデーで渡したり、交換し合うプレゼントを使いまわしすることはできません。

普段よりもより高価な商品を毎年購入する、というファクターがないハロウィンの経済効果はいずれ頭打ちになると私は考えています。とはいえ秋の大きな国民的イベントとして定着しつつあり、ないよりはあったほうが経済は潤うわけですので、ハロウィンに興味を持ち、イベントに参加する人が今後も増えることを期待しています。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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