今でしょ先生が語る「東大合格者3つの特徴」の心理学的解説
今話題の「今でしょ先生」東進ハイスクールの林修先生が語る、東大合格3つのポイント。心理学的に考えるとどうでしょうか。
●マザコン
これは、悪い意味のマザコンではなく、「お母さん大好き」という意味でしょう。お母さん大好き、お父さん大好きと言える子は、幸福感の高い子どもです。幸福感が高ければ、将来に希望が持てます。自分に自信が持ています。目標目指してがんばれます。
自発的で積極的なやる気である「内発的動機づけ」の研究によると、内発的動機づけが高まるためには、「重要な他者」から受け入れられていることが必要です。つまり、お母さんから全面的に受け入れられ、愛されていると実感し、だからお母さん大好きといえる子は、やる気が高まる土台を持っていることになります。
脳は、ストレスに弱い臓器です。家庭の不和、親子関係の軋轢が長く続くことは、良いことではありません。お母さんが大好きな子どもは、ストレスなく、のびのびと育ち、脳も健康的に発達することでしょう。
●親から勉強しろと言われなかった
「親が子供のことをちゃんと見ているから、勉強しろなんて言わない」という一言では、林先生のお考えは良くわかりませんが、実際に「勉強しろ、勉強しろ」とうるさく言わなくても、勉強するのでしょう。
もともと勉強好きなのかもしれませんが、親が上手に「環境」を整えているのでしょう。
スポーツ好き、つり好き、読書好き、そんな親がいる家庭は、それぞれスポーツやつりや読書が好きになりやすい環境になります。家庭内に道具がある、大人が楽しそうに語る、大人が活動している姿を見る、そして子どもを連れて行くでしょう。
勉強も同じです。知的好奇心が高まり、すっと勉強を始めやすい環境が整っているのでしょう。
受験を目指して親が子に勉強をさせたいと思ったときも、子どものことを良く見ているので、子どもに無理強いするのではありません。その子その子に合った、効果的な方法を考え出せるのでしょう。
内発的動機づけの研究によれば、無理強いや、子どもを操ろうとする露骨な態度は、かえって子どものやる気を奪います。「勉強しろ」とは言わない、強制感を感じさせない効果的な方法が取れるのでしょう。
脳は、ただ机に向かって勉強すれば発達するのではありません。「豊かな環境」が必要です。口うるさくなく、愛されている親は、きっと子どもに様々な経験をさせていることでしょう。
各地方で東大進学率ナンバーワンといった高校は、文化祭、体育祭も、見ごたえのあるものをやるものです。
●完璧主義ではない
「できる子というのは、自分に自信があるので、できないことをできないと率直に認め」ということです。「わかりません」「教えてください」「助けてください」「ごめんなさい」といったことが言える人、弱さを認められる人は、劣等感に負けない自信を持つ人です。そういうふうに言っても、自分のプライドが傷つきません。人にバカにされないことがわかっています。変な心配をしないのです。
心理学の「ヤーキース・ドットソンの法則」によれば、成功しなくてはならないと思い込みすぎるとパフォーマンスが下がることがわかっています。あせりすぎると、上手くいかなくなるわけです。東大に行く子達は、もちろんいい加減ではありませんが、不健康で逆効果になるほどの完璧主義ではなく、ほどよい緊張感ややる気を持っているのでしょう。
自信のない人は、自分も「やればできる」などと語りながら、それを言い訳にして、いつまでたってもチャレンジせず、行動しません。不健康な完璧主義に陥らず本当に自信のある人は、「今でしょ!」と言われて、今行動できるのです。
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- 「母の日」に、親子関係の回復を:お母さん大好きと言える子は幸福な子:Yahooニュース「心理学でお散歩」
- 『いつやるか? 今でしょ!』宝島社 林修 著