ユベントスに加入した北朝鮮代表FWがC・ロナウドと同じピッチに立つ日は来る?その背景と可能性
ユベントスが2日、カリアリに所属する朝鮮民主主義人民共和国代表(以下、北朝鮮代表)FWハン・グァンソンの獲得を公式に発表した。
このニュースを聞いて、すぐに北朝鮮サッカー関係者に確認を取った。
「ハン・グァンソンのユベントス行きは水面下でずっと話し合いがなされていました。かなり前から決まっていたようなものです」
淡々とした口調からして、ハン・グァンソンのユベントス行きはそこまで驚くべきことではなかったようだが、筆者は正直驚いた。
去年から何度もユベントス行きの可能性が報じられていたが、セリエAで目立った結果を残さない限り、ビッグクラブへの移籍は実現しないと思っていた。
ハン・グァンソンは2017年にカリアリのトップチームに昇格し、12試合に出場して1ゴール。2018-2019シーズンからペルージャに期限付きで加入し、2シーズンで計36試合11ゴールを挙げている。
今シーズンからカリアリに復帰したところ、ユベントスへの移籍が決まった。セリエBではある程度活躍したといえるが、「絶対に欲しい」という逸材なのだろうかという疑問があった。
考えられるのは、まだ20歳という若さとこれからの伸びしろ。今後の成長にユベントスが期待している部分が大いにあるということだろう。
これからハン・グァンソンは今季セリエCに所属するU-23でプレーすることになるという。結果次第ではトップチーム昇格もあるだけに、今後の活躍を期待したくもなる。
いずれにしても、あのクリスティアーノ・ロナウドがいるチームに、クラブ史上初のアジア選手、しかも北朝鮮選手が加入したことは同国サッカー界にとっては明るい話題であるのは間違いない。
それに北朝鮮サッカー界に新たな歴史を刻んだという点において、ハン・グァンソンのユベントス加入は国内選手にまた一つ、大きな夢を与えたことだろう。
それこそFWとしてC・ロナウドと同じピッチに立つ日が来れば、これもまた大きな話題だ。その可能性がないとは言えない。
W杯アジア2次予選でエースとなれるか
そして、これから始まるワールドカップ(W杯)アジア2次予選では、エースとしての重責を担うことになりそうだ。
今月5日にホームの平壌で行われるワールドカップ(W杯)アジア2次予選の初戦で、北朝鮮はレバノンと戦う。10日にはアウェーでスリランカとの戦いが待っている。この2連戦で貴重な勝ち点を取れるかどうかで、2次予選突破が大きく左右されるのは間違いない。
今年1月、UAEで開催されたアジアカップでハン・グァンソンのプレーを見たが、ほとんど見せ場を作れず3戦全敗の屈辱を味わった。
そのときは周囲との連携不足が目立ち、タテへの突破もことごとく止められていた。自身のコンディションも万全でなくミスが目立った。シュートを打てない苛立ちも見え隠れした。
そんな苦い思い出を払拭するべく、ユベントスでの経験を代表チームにしっかりと還元してもらいたいところだ。