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カジノ業界のダークサイドを映す

木曽崇国際カジノ研究所・所長

本日より、カジノ業界のダークサイドを描いた映画「ランナーランナー」が全国東宝系の映画館で公開となります。

画像

監督:ブラッド・ファーマン

製作:レオナルド・ディカプリオ 他

キャスト:

ジャスティン・ティンバーレイク(リッチー・ファースト)

ジェマ・アータートン(レベッカ・シャフラン)

アンソニー・マッキー(シェイバース)

ベン・アフレック(アイヴァン・ブロック) 他

レオナルド・ディカプリオ製作×『リンカーン弁護士』ブラッド・ファーマン監督

米ギャンブル業界を震撼させたオンラインカジノ不正事件―衝撃の実話、解禁!

300億ドル。

日本に先んじて2012年から米国での合法化が始まったオンラインカジノの年間収益額である。 そこで実際に起きたポーカーの不正事件から着想を得て、レオナルド・ディカプリオ製作のもと、一本の映画が生まれた。

カジノ王に操られ、FBIからは追われるハメになったある学生の逆転劇を描くギャンブル・エンターテイメント『ランナーランナー』である。 主人公のプリンストン大学院生リッチーにジャスティン・ティンバーレイク(『TIME/タイム』)、彼を翻弄するサイトの胴元であるカジノ王にベン・アフレック(『アルゴ』)を迎え、タフで知的な駆け引きを軽妙に展開したのは『リンカーン弁護士』が好評を博したブラッド・ファーマン監督。

元ネタはアメリカの大手オンラインポーカーサイト「アルティメットベット」で2008年に起きた詐欺トラブル。経営関係者の内部告発、さらにはFBIによる報道規制も噂されるまでに発展した、まさに“映画のような”この事件。本作のエピソードがどこまでが事実か、信じるかどうかは見る者の自由だが、娯楽性豊かにこの時代ならではのネット社会の抱えるリスクをも描き切った本作は、“ギャンブル”ジャンルの新たな基準点となる傑作であると言えよう。

出所:http://runner-runner.jp/

伝統的なカジノ映画といえば、必ずリアルなカジノ施設の中からエピソードが始まるわけですが、本作はオンラインカジノでの詐欺事件をキッカケにしながら、舞台が南米のリアルカジノに展開するという非常に現代的な作品となっております。また、キャッチコピーに謳われている通り、本作は実話を元にして創作された映画であり、当然ながら映画的な誇張表現はあるのでしょうが、描かれているエピソードそのものは我が業界の中に「巣食う」闇の部分を現実に即して描いたものであります。

実は数か月前、本作の配給元から「映画のプロモーションに協力してくれ」とのご連絡を受けておりまして、内容自体もどちらかというとカジノ業界のマイナスの部分を描いたものであるだけに、私としても依頼を受けるかどうか悩みました。しかし、先述の通り、本作品は我が業界で起こった現実のエピソードを元にした映画であり、私自身がそこから目を背けてはならないという考えに至り、依頼を受けることとしました。

本作の中で主人公リッチーは、暴力、イカサマ、ギャンブル依存、政治癒着、マネーロンダリングなど、様々なカジノにまつわる負の側面に巻き込まれてゆきます。勿論、これらは各種法整備が未発達の途上国においてのエピソードではありますが、これもまた我が業界の現実。現在、衆院解散が決定し先行き不透明にはなっておりますが、もし日本でカジノ合法化がなされるのであれば、これら様々な負の要素を防止できる制度設計を、「前もって」整備してゆかなければなりません。

そういう意味で、本作「ランナーランナー」は我が国のカジノ合法化の「反面教師」として必見の作品。そして、私のカジノ研究者としての役割は、それらあらゆる負の側面に対する施策を提案し、公に広め、カジノ合法化にまつわる国民の皆様の様々な不安を解消してゆくことであると、私自身が考えておるところであります。

…という私自身が依頼を受けるに至った気持ちを、本作品の配給元も汲んでくれまして、実は「ランナーランナー」の公式サイトの中に「日本における、カジノの未来。」と題してコラムの掲載枠を用意してくれました。本作主人公のリッチーが巻き込まれる様々なカジノ業界の負の側面を、我が国ではどのように解消してゆくことが出来るのか、限られた字幅で目一杯解説しておりますので、ぜひ以下のリンク先をご覧ください。

映画「ランナーランナー」公式サイト

日本における、カジノの未来。

http://fb2wp.net/runner.runner.jp/?p=248

国際カジノ研究所・所長

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長へ就任。9月26日に新刊「日本版カジノのすべて」を発売。

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