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阪神・藤谷選手が野手として迎えた安芸キャンプ「休んでいる暇はない」

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
12日のシート打撃で二塁打2本を放った藤谷選手。誰かの声にこんな表情です。

 18日は阪神タイガースの春季キャンプ3度目の休日。ファームがキャンプを張っている高知県安芸市は朝から好天に恵まれ、ポカポカ陽気でした。しかし…天気は急降下。予報通り19日は未明から雨となり、午後は本降りです。きょうは完全に室内練習のみでした。でも雨は夜までに上がり、あすは晴れの予報!あすの練習試合はきっと大丈夫でしょう。

 さて、きょうは昨年8月末に野手へ転向した藤谷洸介選手(23)の話をご紹介します。

 3年目の今季は育成契約となり、背番号が45から125へ変わりました。今キャンプ第4クール最終日の17日、朝の声出しに指名され「一日も早く支配下登録へ戻れるように頑張ります!」と力強く叫んだ藤谷選手。それは、野手転向というチャンスを与えてくれた矢野監督に応えるためでもあります。

サヨナラ弾よりも嬉しかったLINE?

練習も試合もサードのポジション。猛特訓の日々です!
練習も試合もサードのポジション。猛特訓の日々です!

 ルーキーだった2017年の11月、秋季キャンプの残留メンバーによる秋季練習(鳴尾浜)で、矢野監督から「ロングティー、めちゃくちゃ飛ばすらしいな」と話しかけられた“藤谷投手”。突然のことで驚いていたら「(野手の)バッティング練習に入れ!」と言われたそうです。それがきっかけで昨年8月30日に野手転向を発表、翌31日から正式に野手として練習を始めました。

 2週間後の9月14日、社会人・トヨタ自動車との練習試合で初アーチ!しかも9回の代打サヨナラホームランです。その日の夜、矢野監督からLINEでメッセージが届いたとか。

 『ナイスホームラン!気持ちよかったやろ?野球の神様ががんばれよって打たせてくれたホームランかもしれないな』

 『わかっていると思うけど、他の選手からしたら、まだまだ遅れをとっているわけやから。相当な努力が必要。きょうは思いきり喜んで、またあしたから精一杯がんばるぞ!ここから這い上がるためにな』

昨年は熊谷選手のバットや、今成選手のグローブを借りていましたが、ことしはすべて自分のものです!
昨年は熊谷選手のバットや、今成選手のグローブを借りていましたが、ことしはすべて自分のものです!

 何度も何度も読み返したので見なくても言えるくらいだそうですが、間違いなく伝えるため、5か月前のLINEトーク画面を出して教えてくれました。グラウンドても声はかけてもらったのに、わざわざ夜またLINEで届いたことが嬉しかったと、その言葉が本当に沁みたと藤谷選手は言います。

休んでいる時間はない立場

 さらに昨年の11月末、台湾でウインターリーグ参加中だった藤谷選手にも「思いきり振ることを忘れるな」という激励のLINEがあったとも聞いています。

 そのゲキに応えるため、恩返しのため、何より支配下選手に復帰することが第一歩。第4クール後半、試合のあった16日も、翌17日もサブグラウンドで特守を行い、高代コーチのノックを受けました。そして「握り損ねが多いので、ゴロを転がしてもらって“握りかえ”の練習をするために」と、休みの18日も安芸ドームを訪れた藤谷選手。

全体練習を終えて引き揚げてくるところ。この日は特守ではなかったので、ゆとりの笑顔?
全体練習を終えて引き揚げてくるところ。この日は特守ではなかったので、ゆとりの笑顔?

 「実戦も始まってきたので、結果を残さないといけないですし、休む暇はないと思っています」

 いつも練習が終わって着替えながら、手に巻いたテープをはがす時に見えるマメが痛々しいほど。でも、みんなそうなんですよね。「今やらないと!」。そんな気持ちが安芸には溢れています。きっと沖縄へ、矢野監督のもとへも届いているでしょう。3月が楽しみです。

    <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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