向こう一週間は曇りや雨の日が多い「菜種梅雨」
移動性高気圧が日本の東海上に去り、向こう一週間は、全国的に湿った空気の影響で雲が広がりやすく、気圧の谷や前線の影響で雨の日が多くなりそうです(図1、図2)。菜種梅雨の季節です。
梅雨前の梅雨という言葉
四季の変わり目の頃になると長雨が続くことがあります。このような長雨を、その時に咲いている植物や収穫する作物を冠した梅雨という言葉が使われます。
「菜種梅雨」は、3月下旬から4月上旬にかけて、菜の花(菜種)が咲いている時期に降り続く雨のことです。
また、5月初旬からは筍(たけのこ)が取れる時期の長雨ということで「筍梅雨」となります。
さらに、5月中旬の長雨は「卯の花くたし」です。卯の花は、多くの白い花をつける低木であるウツギの花のことで、これを腐らせるような雨という意味です。
そして、6月に入り、梅の実が熟する頃の雨が梅雨です。
春から夏にかけては、植物の成長を促す大切な雨が降ることから、長雨に植物の名前がついたとも言われています。
一方、梅雨に入る前に降る長雨を「走り梅雨」とか「前梅雨」とか「迎え梅雨」と呼ぶことがあります。
梅雨明け後の梅雨という言葉
梅雨明け後に、持続的な悪天が現れると「戻り梅雨」とか「残り梅雨」とか「帰り梅雨」と呼ぶことがあります。
さらに、初秋の時の長雨が「すすき梅雨」、晩秋から初冬の長雨が「山茶花(さざんか)梅雨」です。
このように、日本で梅雨という言葉がほぼ一年にわたって使われるのは、梅雨が日本人にとって大切な米作と関係がある現象であり、大きな関心事であったことの反映です。
梅雨期間でも色々な梅雨
梅雨期間でも、強い雨が降ったり晴天となったり変化が激しい梅雨を「陽性梅雨」、あまり強い雨にならなくても曇や雨の日が続くと「陰性梅雨」となります。
昔は、「陽性梅雨」を「男梅雨」、「陰性梅雨」を「女梅雨」と言っていましたが、男女のイメージが変わってきている昨今では、使われていません。
雨日数や降水量が少ないと「空梅雨(からつゆ)」です。「照り梅雨」、「枯れ梅雨」、「日照り(旱)梅雨」ともいいます。梅雨の期間に雨が十分に降らないと干ばつで米作が大きな被害を受け、灌漑施設が不十分であった昔の日本では深刻な問題でした。
逆に雨が多く集中豪雨により大きな被害を出すときは「暴れ梅雨」とか「荒れ梅雨」といいます。最近では、毎年のように暴れ梅雨となり、大きな被害が発生しています。
また、梅雨期間中に低温が続くときは「梅雨寒む」、木々の青葉を一層あざやかにする雨を「青梅雨」です。
梅雨がない北海道でも、年によっては2週間くらい「リラ冷え」と呼ばれる肌寒い天気が続くことがあり、これを「蝦夷梅雨」と呼びます。
梅雨と名前がつく現象の多くは、降り過ぎる、あるいは降らなすぎる雨に対する警戒が必要です。