中1女子いじめっ子に仕返しで自殺か:自殺報道の注意点
■中1女子自殺:いじめっ子に仕返しか
■自殺者の心理
一般的に、自殺は追い詰められた末の死である。自殺は、冷静に判断した上での行動というよりも、心のバランスを崩した結果として実行されることが多い。だから、自殺者を責めることはできない。
自殺は、孤独の病とも言われている。孤独と絶望に押しつぶされたとも言えよう。自分は一人ぼっちで、この問題は絶対に解決できないと感じる。解決方法は自殺しかないし、自殺すればすべて上手くいくと感じてしまう人もいる。
■子ども若者の自殺
中高年の自殺が深刻な問題を抱えていることが多いのに対して、子ども若者の自殺は、大人から見て理解できない理由で行われることもある。心理学的には、青年が語る「死にたい」は「生きたい」「幸福になりた」だ。
生きて幸福になりたいのだが、その方法がわからず、死ぬしかないと思い込むのが青年の自殺だ。
一方、子どもの自殺は青年以上に些細なきっかけで突然行われ、青年よりも確実な自殺方法が選ばれることも多い。その理由としては、子どもが持っている衝動性と、死生観があやふやであることがあるだろう。
中学生の自殺は、青年の自殺の特徴を持つ場合と、子どもの自殺の特徴を持つ場合とがある。
■「仕返し」の心理
一般に、自分が被害を受けたのに効果的な反撃ができない時、人は復讐心を持つ。それは自然なことだろう。だが、心のバランスが取れているときには、復讐はしたいが危険は犯したくないと感じる。そうして色々と考えているうちに、復讐心は薄らぐ。
その後、人生がうまくいくようになれば、あのとき受けた被害の影響も小さくなっていき、復讐に向けていた心のエネルギーを、もっと建設的な方向へ向けることができるようになっていく。
しかし、しばしば子どもは衝動的で、すぐに行動に移してしまううことがある。また大人でも子どもでも、心が追い詰められると、自分の幸福を追求するのではなく、自分が不幸になってでも良いから相手に復讐したいと感じてしまう。
相手の家に火をつけたくなったり、嫌がらせをしたくなったりする心理である。自分が逮捕などされれば身の破滅なのだが、そこまで考える余裕を失う。愛を受けとめてくれなかった相手を殺して自分も死のうとするストーカー犯罪も同様だろう。
「自殺」が復讐になることもある。親への強い反発心から、「死んでやる!」と口走る青年もいるだろう。元恋人を困らせるために自殺を心ミス人もいる。
いじめられているのに効果的な反撃方法が思いつかないとき、絶望的想いの中で、死ぬことによる復讐を考える場合もあるだろう。もちろん、問題解決のためにもっと効果的で健全な方法を考えなくてはならないのだが。
■自殺報道とネットでの発言の注意点
自殺予防の研究によれば、センセーショナルで詳細な自殺報道は、次の自殺を引き起こしやすい。特に、同地域や、同世代、類似の悩みを持っている人が影響を受けやすい。子どもは、特に影響を受けやすい。
自殺者を責めるような報道も、同じように悩んでいる自殺者を追い詰める。自殺を美化するような報道も、次の自殺を呼びやすい。また、自殺によって問題が解決したと受け取られるような報道も、自殺の連鎖を生む。
たとえば、いじめられていた子が自殺し、いじめていた子が強い罰を受け、子どもを守れなかった学校も責任を問われる。自殺したことによって、問題が解決して良かった。そのように解釈されかねない報道や、ネット上の声は、自殺予防の観点からは危険である。
子どもの自殺は大きく報道される。いじめが絡んでいれば、さらに報道は加熱する。だが、報道が次の自殺につながる可能性を忘れてはいけない。それは、ネット上で発言する人も同様だろう。
自殺を考えている人は、孤独と絶望の中で悩んでいる。問題は解決できない、もう幸福にはなれないと思い込んでいる人もいる。子どもの場合は、なおさらだ。
マスコミや、ネットユーザーがあ伝えるべきことは、自殺による解決ではなく別の解決があると伝えることだ。いじめられている子達には、孤独な戦いをする必要はなく、みんなで守っていく、必ず幸せになれると伝えていきたい。