ノルウェー議会がドラッグ非犯罪化へ「薬物依存症者に罰ではなく治療と助けを」 右派・左派で合意
12月13日、ノルウェー議会は、ドラッグを非犯罪化とする改正案を政府に求めることがわかった。
薬物依存症者を「犯罪者」としてではなく、「病人」とする新しい考え方を提唱する。
薬を断ち切れずにいる人を、警察や法が罪人として裁くのではなく、医療・保健機関が助けが必要な病人として接するものだ。
右派・左派の与野党らが合意しており、反対したのは犯罪の厳しい取り締まりを求める右派ポピュリスト政党の「進歩党」と、保守的な傾向がある「キリスト教民主党」のみ。
ノルウェーでは各政党の青年部らも、薬物依存症の捉え方を考え直すように以前から母党に求めていた。
現地の右派・左派の大手新聞社も、この決定を喜んで受け入れている。
19日付のクラッセカンペン紙によると、人口520万人のノルウェーでは、昨年だけで1万4000人がドラッグの使用で警察に捕まり、7000人が罰金などの処罰を受けた。
改正案が実際に施行されるのは、2021年頃と想定されている。専門委員会を設置し、改正などに向けて議論を進める。
多くの政党や関係者が合意するためにも、「時間がかかるのは仕方がない」という見方が国会内ではある。
違法な薬物を使用し、毎年250~300人が命を落とすとされるノルウェー。この待ち時間は「長い」とするのは、「より安全な薬物政策連盟」の代表スピナングル氏。
「責任機関のスタッフの制服の色が、青色(警察)から白色(医療関係者)に変わるだけで、全ての問題が解決するわけではない」と、これで安心してはいけないとも話す(クラッセカンペン紙)。
Photo&Text: Asaki Abumi