多方面で活躍する美形ハーフ・石田ニコルの30歳を迎えた体感。「作った自分は20代で取っ払いました」
美形ながら親近感もあり、モデルに女優にバラエティと多方面で活躍中の石田ニコル。アラサー女子3人の10年間を描いた映画『いけいけ!バカオンナ~我が道を行け~』にメインキャストで出演する。自身も今年30歳になったばかり。タレントとしてイチ女性として、リアルなアラサーの体感と見据えているものを聴いた。
職業は“会社員”と書いています(笑)
――モデルに女優にバラエティにゲーム実況系のYouTubeまで、幅広く活躍中の石田さんですが、自分の肩書きは何だと考えていますか?
石田 何でしょうね? 外国に行ったときの出入国カードには“会社員”と書いています(笑)。契約社員ということで。
――確かに事務所と契約してますが(笑)。
石田 どの仕事にも全部違う楽しさがあって、楽しい度合いはどれも同じ感じです。
――女優業に関しては、昨年出演した舞台『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』が読売演劇大賞の優秀作品賞を受賞しましたが、演技に対する考え方や取り組み方が変わってきたりはしてますか?
石田 私の演技の基盤はミュージカル『RENT』(*2012年上演)で作ったもので、そこにプラスαを加えていきました。でも、今回の『いけいけ!バカオンナ』はコメディで、今までの流れとはちょっと別物かもしれません。感覚としては『ファースト・クラス』と同じです。『ファースト・クラス』はコメディではないけど(笑)。
――強く振り切るようなところが通じてますかね。自分ではコメディは観ますか?
石田 コメディだと海外ドラマが多いです。映画でよく観るのはサスペンス系。でも、一番好きな作品はサスペンスでなくて、『レディ・プレイヤー1』です(笑)。
――ゲーマーだけに(笑)。
石田 私が使っているゲームのキャラクターが出ていて、何回でも観られます。
――女優として影響を受けた作品というと?
石田 今パッと浮かんだのは『ユリゴコロ』です。吉高(由里子)さんは事務所の先輩で、もともと小説も読んでいて観たんですけど、すごい衝撃でした。吉高さんのことを知っているのに、映画の中では吉高さんじゃないんですよ。役を演じているとも感じない。普通に「こういう人がいるんだ」って観てしまう。それがすごくて、「女優さんはこんなことができるんだ」と感動したのを覚えています。
家ではゲームTシャツでカップ焼きそばも好き
――『いけいけ!バカオンナ』で演じたセツコは、主人公の結子(文音)から「ハーフでスタイルが良くて最強。ナチュラルボーン・ビューティー」と羨望されてました。そういうキラキラぶりは石田さん自身のままで行けました?
石田 私はプライベートでは全然キラキラしてませんけど(笑)、仕事柄、「こういうふうに見られているんだろうな」とは思いました。
――自分でも、“キラキラした石田ニコル”を見せる意識はあって?
石田 20代前半はそういうふうに頑張ってきました。でも、バラエティやゲームのお仕事をさせていただくようになってからは、やめました。作っても自分の中で違和感があるので、一度取っ払ってみようと。
――20代前半は作っていたところもあったわけですか?
石田 そうですね。声も2トーンくらい高かったかもしれません(笑)。
――セツコも家ではスウェットに厚底メガネで、コンビニにカップ焼きそばを買いに来てました。石田さんも家でまでオシャレはしませんか?
石田 していません。一時はゲームTシャツにハマって、“Nintendo”と書いてあるTシャツに下はヨガのときに穿くスウェット、というのが家での基本(笑)。カップ焼きそばやカップうどんも好きです。
――イメージ的には高級フレンチとかに行ってそうなのに(笑)。
石田 仲の良い友だち同士で「オシャレしてガールズナイト」みたいなテーマを決めて、すごく着飾って、いいところにごはんを食べに行くことはあります。でも、それは半分遊びで、たまにやるくらいですね。
――インスタでは素敵な石田ニコルさんが溢れてますよね。
石田 ヘンな写真を上げるわけにはいきませんから。このご時世だから、昔撮った海の写真をいっぱい載せています。
――そこはイメージを壊さないように?
石田 そうは思ってないかな。逆に、身近に感じてもらえたら嬉しいです。そんなふうに思うようになったのが、ゲーム番組やYouTubeを始めたタイミングとちょうど合っていた感じ。だから、インスタもちゃんとした写真は載せても、ハッシュタグで遊んだり、クスッと笑ってもらえるようなことを書いています。
男性に見せない本性を女性はみんな隠してます
――『いけいけ!バカオンナ』について、「普段隠している心の中までも覗かれているのではないかと思うくらい共感することが多かった」とコメントしてました。
石田 男性が持っている女性のイメージは、女性が「こう見せたい」って出しているものなんですよ(笑)。かわいい服を着て、ちゃんとしていて……。でも、そうじゃない部分が女の子にはみんなある。隠している本性がこの映画には全部出ています。だから、女の子は少なからず共感すると思いますし、セツコを演じるうえでも「わかるな」みたいなところがありました。
――セツコは途中で「みっともなくなるくらい頑張ってみたくなった」とも言ってました。そういう心境になったこともありますか?
石田 この仕事を始めたときがそうでしたね。私は本当はすごく安定志向で、病院でマンモグラフィを撮ったりする放射線技師になろうとしていたんです。それで、こっちの仕事1本でやるか、病院で働くか悩んだ末に、「どうなるかわからないけど、やってみよう」と思いました。「ダメだったとしても頑張ったらいいじゃん」って感じだったかな。舞台のときもそうだったかもしれませんね。
――『RENT』のときですか?
石田 すごく不安で、すごく怖くて。舞台上でどうなるかわからない。『FACTORY GIRLS』のときも、7年ぶりだったから怖かったです。でも、「やるしかないからやる!」という。
顔芸は思い切りやりすぎて自分で観て笑いました
――共感点が多いセツコは、演じやすかったわけですか?
石田 自分にとても似ていて親近感を持てて、演じていて楽しかったです。でも、私は合コンに遅れてきて、あんなにバーンと出てきたりはしません(笑)。
――結子と出会った最初のところですね。
石田 あそこはすっごい面白かったです。あんなにおじさまたちに歓迎されて道を進んだことが私はなくて、久々にランウェイを歩く感じがしました。居酒屋ランウェイ(笑)。カットがかかった瞬間、めっちゃ笑ってました。
――結子と卓球で勝負したシーンも、テンション高くて面白かったです。
石田 撮影前に先生についてもらって練習しました。ラケットの角度とかもちゃんと習って、大変だったけど、すごく楽しかったです。
――「サーッ! シャーッ!」みたいなところは、なかなかすごい顔をしてました(笑)。
石田 やり切りました。撮り終わったあと、「大丈夫だったかな?」って、ちょっと不安になりましたけど(笑)。
――その辺はコメディならではの演技で。
石田 そうですね。顔芸みたいなところもあって、最初は「よっしゃ、やるゾ!」という感じでしたけど、後半は思い切りやりすぎて、観たときにめっちゃ笑いました(笑)。
――劇中のセツコと結子のような、10年来の友だちは石田さんにもいますか?
石田 います。高校2年から同じクラスだった子で、一緒に上京して、今も会ってます。病院で働くか、この仕事をするかで迷っていたいとき、「モデルをやりなよ」と背中を押してくれたのがその子でした。数ヵ月ぶりで会っても、昨日も会っていたようにしゃべれます。
理想の男性はずっと“武士”で変わりません
――3人の女性がアラサーになるまでの10年が描かれていますが、石田さんも今年5月で30歳になりました。
石田 何も変わらないですね。私の周りの人たちは、みんな「30からが一番楽しい」と言っていたので、ワクワク感が強かったです。
――仕事やライフスタイルに関する考え方が、20代の頃と変わってきたりはしませんか?
石田 20代前半はガムシャラにいろいろやってましたけど、20代後半からは自分の好きなことに取り組んでいくのが幸せと感じるようになって。ブワーッといきすぎないで、マイペースでゆっくりと、自分なりに考えていく。そんな心のゆとりをちょっとだけ持てるようになりました。だけど、そのゆとりはたぶん、いろいろガムシャラにやってきたからこそ、生まれたんだと思います。
――今は精神的に良い状態なんですね。
石田 そうですね。本当にゲームだったり海だったり、好きなことが仕事になっているので楽しいです。
――劇中ではセツコの結婚話がクライマックスの軸になっていますが、石田さんの結婚観も変わってきました?
石田 若い頃は「30歳くらいで結婚したい」と散々言ってましたけど、20代後半になるにつれ、違うなと。好きなことがいろいろやれている中で、もっとやりたいことも生まれてきているので、結婚に関しては何も考えてないし、ビックリするくらい焦っていません。
――理想の男性像も変わりました?
石田 それは変わってないです。昔からずっと、理想は“武士”と言ってます(笑)。
――令和の時代に武士とは?
石田 これが難しいんですけど、『三國無双』の関羽や劉備みたいな人が理想です。劉備ってカッコよくて、イイ声でバシッと戦うんです。その背中がカッコイイ。……私、大丈夫ですかね(笑)?
――“漢”と書いて“おとこ”と読むような人がいいとか?
石田 そうです! そんな漢が3次元でいたらいいな……という話です(笑)。
やっと運転免許を取ったのでダイビングで回りたい
――「もっとやりたいことが生まれてきている」というのは、たとえばどんなことですか?
石田 今はこういう状況ですけど、いろいろな国に行ってみたいです。それぞれの国でインプットしたものを、自分の中からアウトプットしたい。それはロシアに行ったときに、すごく思いました。いつか状況が落ち着いたら、また世界を回ってみたいです。
――次に行きたいところは?
石田 アフリカです。リアル『ライオンキング』を見てみたい(笑)。大草原に昇る朝日とか。あと、私はダイビングをするので、メキシコの海でサメと泳ぎたいです。まだ行ったことのない国は結構多いんですよね。
――その中でも、定番のアメリカやヨーロッパが第一ではないんですね。
石田 THE観光地というところもいいですけど、自然をいっぱい見てみたいです。あと、建物にも興味があります。
――それと、運転免許を今年2月に取ったとか。
石田 そうなんです! 取りました。
――なぜ今だったんですか?
石田 今までタイミングがなかったんです。オーストラリアとかでもそうでしたけど、島に行くと車があったほうがダイビングをするのが楽なんですね。それでずっと取りたいと思っていて、ようやく教習所に通って、頑張って取りました。
――縦列駐車とかで手こずることなく、すんなり取れたんですか?
石田 楽勝でいけました(笑)。一面緑のまっすぐな道を車で走ってみたいです。早くそういう世の中に戻ったらいいですね。
Profile
石田ニコル(いしだ・にこる)
1990年5月29日生まれ、山口県出身。
2010年に『神コレモデルオーディション』でグランプリ。現在は『sweet』、『Gina』、『HONEY』でレギュラーモデル。2011年に映画『パラダイス・キス』で女優デビュー。主な出演作はドラマ『ファースト・クラス』、『サムライせんせい』、『悦ちゃん~昭和駄目パパ恋物語~』、『ひみつ×戦士 ファントミラージュ!』、映画『CUTIE HONEY-TEARS-』、『パラレルワールド・ラブストーリー』、舞台『RENT』、『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』など。『王様のブランチ』(TBS)にレギュラー出演中。ミュージカル『フラッシュダンス』(9月12~26日/日本青年館ホール)に出演。
『いけいけ!バカオンナ~我が道を行け~』
監督/永田琴 脚本/北川亜矢子 原作/鈴木由美子 出演/文音、石田ニコル、真魚ほか 配給/アークエンタテインメント
7月31日より全国ロードショー