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新社会人に贈る言葉 ~これからの時代は、自分自身のクライテリア(判断基準)を持て

横山信弘経営コラムニスト
(ペイレスイメージズ/アフロ)

会社の上司はアテにならない

今日は、新社会人に向けて書きます。

私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントです。

クライアント企業の従業員には、難関な資格学校の講師と同じスタンスで向き合います。資格講師のゴールが受講生の資格取得であるように、私のゴールは、クライアント企業の目標達成。したがって、それなりの厳しさで相手と対峙することになります。

目標を達成させるための計画を立て、達成させるためのノウハウを伝え、「やるべきこと」をビシッと言います。自主性を重んじたりはしません。その「やるべきこと」ができていないと「それでは目標が達成しない」と強い口調で叱ります。

なぜ世の中に私のようなコンサルタントが存在するか、あなたははわかるでしょうか? 驚くかもしれませんが、会社に入社し、あなたを指導する上司や先輩方のほとんどは、そのやり方(つまり目標達成の方法)を知らないからです。

子どもに学校の勉強を教える親のようなものです。正しく教えられる親もいれば、教えられない親もいます。親も中学や高校を卒業しているのに、子どもにうまく教えられないのは、教え方を知らないからです。あなたの上司や先輩社員も同じです。

過去10年で1000回以上、セミナーや講演をしてきて5万人以上の経営者、管理者の皆さんと私は接してきました。彼ら、彼女らの悩みの9割は部下育成です。どうすれば正しく部下を育成できるのか、その方法を知らないから、みんな悩んでいます。

親が子育てで悩むように、上司は部下育成で悩んでいます。しかし「部下」の方々は子どもではありません。立場の違いはあっても、立派な大人です。あなたが大人である以上、現実を受け入れて「じゃあ、どうするか」を考えなくてはなりません。

メディアはもっとアテにならない

私が社会に出たのは25年以上も前のことです。昔と異なり、現在が著しく異なるのは、インターネットの普及により、情報過多の環境に身を置いていることです。ネットが新聞や雑誌などとは比べ物にならないほどマスメディアとしての力を持つ時代となりました。

しかしメディアもまたビジネスで成り立っているため、その拠り所は、視聴率や販売部数やページ閲覧数です。真実を伝えたいという信念を持った情報もありますが、大衆の目を引くニュース性・話題性の高い情報のほうが目立つようになっています。これが世の中の仕組みです。

絶対に覚えておいてほしいのは、「大衆ウケする情報を真に受けていては一流にはなれない」ということ。一流の人がテレビやネットをダラダラ見てはいません。一流の人は一流の情報に触れているのです。そして一流の情報がフリー(無料)で手に入るはずがないことは、肝に銘じておきましょう。

先述したように、あなたの上司や先輩社員がアテにならないのは、正しくコストを支払って、一流の情報に触れ続けている確率が低いからです。

コンサルタントはアテになるのか?

同じコンサルタントという肩書を持っていても、私と異なるスタンスの人が圧倒的に多いと言えるでしょう。

テクニックや心構えは言うのですが、「やるかやらないかは、あなた次第」というスタンス。「参考にしてください」が口癖の人は、相手の自主性、主体性を重んじています。

どちらのコンサルタントのほうを望むかは、クライアント企業の考え方によって変わりますが、どちらに指導されたほうが結果が出るかは、火を見るより明らかです。

達成できるかどうかは別にして、いま現時点では難しいと思える目標に向かってチャレンジし、創意工夫を続けることで人は成長していきます。成長のサインは「葛藤」。相手が「葛藤」するようなことを指導者は言えるか。立ち向かえるか。指導する者が、「結果が出なければ自分にも責任がある」というスタンスを持っているか、が大切です。あなたを教育する上司や、外部のコンサルタントや講師たちにその覚悟を持っているでしょうか。もしそういう人がいなければ、自分で見つけるか、自分で自分を律し、自身が教育係を担う必要があることを知っておきましょう。

自分だけのクライテリアを持て

先述したとおり上司はアテにならない。メディアが言っていることもアテにならない。というのであれば、どうすればいいのか。

会社という組織に所属している以上、上司や先輩が言っていることに耳を傾けなければなりません。相手と信頼関係を築くためには、相手と調子(ペース)を合わせること(ペーシング)が必要だからです。しかし、それはあくまでもペースを合わせるという行為であり、相手の価値観や考え方を盲従する、ということではありません。

そこで、こんな時代だからこそ、私はあなたに、あなたなりのクライテリア(判断基準)を作り上げてほしいと心底考えています。自分なりのクライテリアがあるなら、

「やりたくないことだけれど、課長が言っていることは正しい。課長が言うことに従おう」

「何が正しいかはわからないけれど、今日、部長が言ったことは違うと思う」

「このネット掲示板に書いている人の意見はおかしい。こういう考え方は持つべきではない」

……このように判断できるようになります。

自分だけのクライテリア(判断基準)を自分自身で作り上げ、日々メンテナンスしていくのです。そのためにすることは簡単です。言葉の持つ意味を正しくとらえることです。

正しい言葉の意味を知る

近年、メディアの影響により、「ブラック企業」「パワハラ」といった言葉が広く使われるようになりました。「ブラック企業」とか「パワハラ」等という言葉から派生した造語もメディアでは多数取り上げられ、巷に溢れています。(たとえば「ブラック上司」「モラハラ」「マタハラ」など)

しかし労務的な一般知識がないのに、これらの言葉を身勝手に解釈し、不当に権利を振りかざす人も出てきました。これが行き過ぎると「モンスター社員」などと呼ばれてしまいます。

どこに行っても通用する一流の人財になるには、メディアや知人が口にする言説に振り回されることなく、正しい一般知識を身に付けることは絶対に必要です。新奇性の高い言葉に対して過剰な反応をするのは”稚拙”としか言いようがなく、「常識を知らない」とレッテルを張られるだけ。周囲から信用されなくなります。

いっぽうビジネス上の一般知識ではなく、解釈の仕方に工夫が必要な「新語」も気をつけたほうがいいでしょう。ここ10年ほど、一般的な職場でも使われるようになった「モチベーション」「やらされ感」「働きがい」といった言葉は、多くの人が勘違いをして解釈しています。経営者や管理者でさえ正しい意味を知らずに使っている人が多いため、誤解が誤解を生み、ポテンシャルのある人の成長を阻害する大きな要因にもなっています。

たとえば「モチベーション」は、みずからの意思で設置した「設定型の目標」を達成するのに必要な心情であり、元来やらなければならない「発生型の目標」を達成するには必要がありません。「やらされ感」は、本来はやらなくてもいいことなのに、「やって当たり前」という態度で言われたときに抱く嫌悪感を指します。もともと「やって当たり前」のことを指示されたときにこの感情を抱いてはいけません。「働きがい」は、自分や周囲(家族や同僚、お客様など)、そして社会に貢献してこそ覚える情感です。自分の好きな仕事に就けば手に入るものではありません。自分や周囲、社会の成長が「働きがい」を感じる大きなファクターとなることも知っておきましょう。

違いがわかる人間になる

自分だけのクライテリア(価値判断)」を持つためには、先述したとおり正しい言葉の意味を知ることからはじめます。そして多くの「気付き」を得てクライテリアをメンテナンスしてほしいと思います。そうすることで、違いのわかる人間になれるからです。

「気付き」は以下3つのシーンで得られます。

1)新しい知識を得たあと

2)新しい体験をしたあと

3)新しい目標を達成したあと

新しい知識を得るだけでも、相当な気付きはあるでしょう。しかし、その知識をもとに行動したあとは、それ以上の気付きを得られます。行動を繰り返し、高い目標を達成したあかつきには、自分の思考プログラムを変えるほどの気付きが手に入ります。

知識、体験、結果。この3つが合わさってはじめて自分のクライテリアができあがっていきます。強固なものに仕上がるのです。社会に出て、道に迷うことはたくさんあるでしょうが、今の高度情報化時代を生き抜くには、自分自身でクライテリアを作り上げ、日々メンテナンスする努力が必要と私は考えています。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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累計40万部を超える著書「絶対達成シリーズ」。経営者、管理者が4万人以上購読する「メルマガ草創花伝」。6年で1000回を超える講演活動など、強い発信力を誇る「絶対達成させるコンサルタント」が、時代の潮流をとらえながら、ビジネスで結果を出す戦略と思考をお伝えします。

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