真夏のピークは去っても続く暑さ。野良猫が「ほとんど生き残れない」過酷な現実とは?
今年の夏は猛暑。
もうじき9月になろうとしているので朝晩は、少し涼しくなりましが、まだまだ残暑は厳しいです。こんな夏に、人間が作り出した野良猫、地域猫が外にいることを忘れてはいけません。
外の猫は、夏はより過酷な現実があるのです。それを詳しく見ていきましょう。
うだるような猛暑から野良猫はどう逃れるか?
猫はエジプトなどの砂漠にいて日本に来たとされているので、暑さに強いイメージがありますが、猛暑はやはり厳しいのです。そのうえ、猫は犬と違って、上下運動できて、外の涼しいところを探せるので、暑くても大丈夫じゃないの? と思うかもしれません。
近くに森のようなところがあれば、日差しをさえぎって暑さよけになるかもしれませんが、都会ではそんな場所はあまりありません。
都会の猫の多くは公園の大きな木の陰や水がない水路で暑さをしのいでいます。
体から汗をかくことができない(汗が出るのは、肉球だけ)猫は、いつ熱中症になってもおかしくないのです。
野良猫は水分補給をどうするか?
猫は犬に比べてあまり水を飲まない動物です。
それでも水は必要です。気温が高いとどうしても水分不足になってしまいます。水分不足になると、脱水になり腎不全になる子が多くいます。
食べ物はどうするか?
野良猫や地域猫を保護している人がいる場所では、人間から餌をもらっているのでしょう。それでも、夏はやはりハエなどが寄ってきやすいので、不衛生です。野良猫は、ゴミ箱を漁って食べることもありますが、夏場は残飯が腐りやすいです。 そのため、下痢などの胃腸疾患になりやすいのです。
夏場はノミとダニが多くいるがどうするか?
忘れてはならないのは、夏場はノミやダニが大量に発生することです。飼い猫でもノミの予防をせずに外に出れば、すぐにノミをつけて家に戻ってきます。
そのことを考えれば、野良猫や地域猫にノミやダニがたくさんつくことが理解いただけると思います。ノミやダニが大量につくと、貧血になってしまうことがあるのです。
血は体に栄養素や酸素を運んだりする役目があるので、貧血状態が続くと長生きできないですね。
野良猫も蚊に刺される?
あまり知られていませんが、猫も蚊に刺されると病気になります。
□蚊アレルギー・モスキートアレルギー(蚊刺咬性過敏症)
猫は被毛に覆われていますが、被毛の薄い部分(耳、鼻、肉球部分など)は蚊に刺されます。
(症状)
患部をしきりにかきむしる、患部に触れることを嫌がるなどがあり、以下のようになります。
・腫れ
・発赤
・かゆみ
・痛み
・化膿
・脱毛
慢性の蚊アレルギーを繰り返していると、扁平上皮がんになってしまう子もいます。
(治療)
抗生剤やステロイド剤で治療をします。
猫を蚊に刺されない環境に置き、治療をすれば完治できます。
□フィラリア症
フィラリア症というと犬を思い浮かべますが、あまり知られていませんが猫にも寄生、感染することがあります。
猫のフィラリア症については、診断が難しく(犬のような簡単な検査キットがない)、知らぬ間に重症化することもありますので要注意です。
(症状)
・咳が続く
・呼吸困難
・食欲不振
・体重減少
重度の状態になってしまうと、命にかかわる危険な病気です。
(治療)
治療は対症療法になります。
心臓のフィラリアを外科的に取り出すということは、ほとんどされていません。
まとめ
飼い猫の平均寿命は、約15歳です。
そんな猫を見ていると、外の子も長生きしているのでは、と思う人も多いかもしれません。
しかしながら、野良猫や地域猫は、この猛暑だと風の通る涼しい場所で快適に暮らすことは難しいのです。
食べ物は暑さと湿度で腐るリスクがあり、そのうえ、ノミ、ダニ、蚊がいるので、病気になるリスクはあがります。そんなことを知って、猫を飼い始めるならまずは、不妊去勢手術をして完全室内飼いにしてあげましょう。完全室内飼いは、猫にとって幸せなことだと筆者は考えています。
ところで、室内飼いの飼い主は、猫にフィラリア症の予防は必要ないと思っているかもしれません。室内・室外飼育に関わらず、猫の約10頭のうち1頭はフィラリアに感染しているという報告もあります。室内飼いの猫でも蚊の予防をしてあげましょう。