経団連就活ルール廃止、政府・大学の新就活ルールで何が変わるか
経団連の就活ルール廃止宣言に対するリアクションが予想以上の速さでまとまったようです。結論としては2021年卒予定者の就活も現状と同様に6月1日スタートとする方向で落ち着いたとの報道です。
【参考リンク】就活、21年卒は6月解禁継続 経団連ルールは廃止
では従来と全く何も変わらないかと言えばそうでもなく、むしろ単に就活時期を見直すレベルの話より大きく踏み込んだ内容と言えます。
経団連ルールは廃止、政府と大学がすべての企業向けに新ルール策定
ポイントは、経団連ルールそのものはやはり廃止し、その上で政府、大学主導で新ルールを策定するという点です。つまり、経団連だけが縛られるローカルルールから、外資、新興企業も含めたすべての企業に影響するルールに切り替えるということになります。
「大企業だけが縛られるのはおかしい」という経団連の意向はしっかり反映されていることになります。
また、従来から大学関係者の中には、一部新興企業による1年生からのインターン受け入れや実質的な内定出しに対して強い不快感を示す向きが強かったことを踏まえれば、新ルールではインターンに対しても何らかの規制強化が導入されることになるでしょう。
新ルール形骸化、2極化する採用市場
とはいえ、従来ずっと政府や大学、経団連の意向を無視し続けてきた外資や新興企業が、これから急に物分かりが良くなるとは筆者にはとても思えません。新ルールなど我関せずとばかりに、従来通り彼らがベストだと考える時期、手法で学生を選抜するはずです。
経団連ルールという縛りのなくなった大企業も、インターンを通じて幹部候補の獲得競争に堂々と参加することでしょう。結果的には3年生以前のインターンを中心とした実質的な採用活動は早期化すると筆者は考えています。
一方で、就活全体が早期化することはないでしょう。企業がインターンを通じて見極めたいと考える人材は一部の幹部候補であり、その他多数の人材は配属先を特定せず、会社都合でじっくりOJTを通じて育てたいと考える企業がほとんどだからです。
一部の優秀層が1、2年生の長期休暇からインターンを開始するも、過半数の学生は従来通り4年生に就活を開始するという具合に、就活は長期化というよりも二極化して運営されるというのが筆者の見方です。