厚生年金106万円の壁撤廃で実際の手取りはどうなるか #専門家のまとめ
厚生年金「106万円の壁」が撤廃され、週20時間以上働く労働者が新たに厚生年金に加入する方向での見直しが進められています。
具体的に手取りはどう変わってくるのか、人々の関心も高いようです。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
厚労省サイドは「新たに厚生年金に加入しても労使折半なので手取りが減るわけではない」との説明を行っているようですが、実際の企業内ではどういう対応がなされるのでしょうか。
実際の企業では、雇用にかかるコストすべてを含めて人件費と設定しており、新たに社会保険料が発生すれば(それが本人負担であろうが会社負担であろうが)それはそのまま賃金を圧迫することになります。
一時的に企業の負担が増えることはあっても、中期では以下のような経路をたどって本人負担に転嫁されることになります。
・賃上げの抑制
・労働環境のブラック化(従来5人で回していた仕事が3人に減らされる等)
これは実際に90年代から2000年代にかけて企業内で起きていたことと重なります。当時、消費税などの増税が凍結される一方、厚生年金をはじめとする社会保険料の引き上げは続けられ、企業は上記のようなツールを駆使して従業員に転嫁しました。
一向に上向かない賃金、ブラック企業という概念の登場は、まだ多くの人の記憶に新しいことと思われます。
今回新規で加入することになるのは労働者全体からみれば一部ですから「失われた30年」の再来のようなことは起こらないでしょうが、対象となる家計へのインパクトは決して少なくはないでしょう。
まとめると「世の中にただ飯はない」ということになります。