[夏に訪ねたい]城下町総選挙 ブラタモリは85%もの城を訪ねていた!
関東圏の穴場ずらし旅の愛好家、とらべるじゃーな!です。いよいよ夏の旅行シーズンですが、道すがらお城を訪ねてみようという方も、いらっしゃるのではないでしょうか?
今回取り上げるのは、昨秋にテレビ朝日系で放送された「城下町総選挙」。旅好き1万人が選んだ、行って良かった城下町ベスト20という、大変興味深い内容。
その上位はほとんどブラタモリでも扱った城でした。数えてみると、ベスト20のうち85%を訪問済み! そこで今回は、ブラタモリではどこに目を付けたのかを、おさらいしてみます。
※城下町ではなく、お城本体を中心にご紹介します。
[2024年6月改訂]
第1位 首里城下町(沖縄県)
第1位は、沖縄の首里城。
戦国時代や幕府の城とは異なる、首里城周辺を城下町に分類していいのかな?とは思いましたが、広い意味では城下町ということで、堂々の1位。ブラタモリでは、火災に遭う前の2016年2月に訪ねています。
ブラタモリ首里城編では、建物よりも石垣に注目しました。タモリさんは、首里城の石垣が、本土と異なり曲線を描いていることに気づきます。これは、なぜなのでしょうか?
……正解はこの後……
答えは、(敵が攻めてきた際に側面から監視、迎撃できるため防御力が高いとされますが)ブラタモリ的には、大半の石垣が「琉球石灰岩」から作られているから。石灰岩はコンクリートの原料として知られ、サンゴや貝などの死骸がもとになる、加工しやすい軟石です。
このほか、石に加工が必要な近代的な布積み(長方形に積む)、沖縄独自の相方積み(複雑な幾何学的紋様に積む)の存在にもブラタモリは注目。琉球には、大陸文化の影響で、当時の本土よりも発達した石垣が見られたのです。
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第2位 金沢城下町(石川県)
2位は金沢城。駅前にある高さ13.7mの鼓門(つづみもん)を模した建造物からして圧巻の、素晴らしい城下町です。
ブラタモリが注目したのは、カラフルな石垣。金沢城にある各代の石垣のなかで、大坂の陣に徳川方として参戦した、3代目当主の前田利常が作ったものです。なぜ、このようにカラフルな石垣を作ったのでしょうか?
……正解はこの後……
これは、関が原の戦いが終わった世情を反映し、芸術性を存分に追求できたからです。
一方で前田利常は、徳川家に謀反の疑いをかけられた時期も多く、金沢城は城下町を丸ごと囲む総構えの構造を取っており、近江町市場などの城下町に、その痕跡を認めることができます。
石垣と城下町には、前田利常の複雑な立ち位置が表れているのです。
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第3位 大阪城下町(大阪府)
3位には、かつては豊臣秀吉のイメージを持つ方も多かった、現存の大阪城。実は大阪城の石垣や堀は、大坂の陣の勝者である徳川がこしらえたものです。
天守閣が見える場所に、大きな井戸のようなものがあります。通常非公開ですが、はしごで下ることができます。深さは7m以上。ブラタモリの取材カメラマンが下へ降りると、そこにあったものは?
……正解はこの後……
実は、地下に豊臣大坂城の石垣が眠っていたのです。現在大阪城では、豊臣の遺構が見られる施設を建設中で、2024年6月現在、公開施設の屋根を作っています。
※この項では、江戸時代までのおおさかは「大坂」、以降を大阪と記しています。
城下町でブラタモリが注目したのは、京橋駅の西側にある、少し高くなった土地。当時大坂城は台地にありましたが、北側にあたるこの周辺は低湿地で、川が自然に作った堤防状の地形がこの周辺(写真では階段の上)です。
低湿地のなか、唯一戦い可能なこの場所で、徳川方約1500人、豊臣方約3000人の兵が激突しました。徳川方は、地形的にしっかりとした陣地を設営できず、敗退しました。
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第4位 姫路城下町(兵庫県)
4位はその白い美しさが特徴で白鷺(しらさぎ)城とも呼ばれる姫路城。
ブラタモリが注目したのは、二の丸にある、原始的な石垣である野面(のづら)積み。自然の石をそのまま積み上げたものです。さて、もともとここには、何が建っていたのでしょうか?
……正解はこの後……
何とここには、豊臣秀吉が作った、黒いお城があったのです。
徳川家康は、江戸城を白で作りました。姫路城も、同時期に白に塗り替えられました。家康は白い城に、時代の移り変わりを誇示する意図を持たせていたのです。
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第5位 江戸城下町(東京都)
5位は、東京駅から気軽に訪ねられる江戸城。
ブラタモリは石垣の高さに注目しました。東京駅に近い場所では低い石垣が、本丸付近ではかなり高くなっています。これはなぜなのでしょうか?
……正解はこの後……
お城の立地の大原則の1つが、台地の先端、守りを考えた立地です。大坂城も、名古屋城もこれに当たります。江戸城も武蔵野台地の先端に建てられたため、台地を少し登った本丸付近は高くなっていたのです。
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第6位 熊本城下町(熊本県)
第6位の熊本城に、ブラタモリは震災前の2016年に訪ねています。
熊本城にはあるものが66もありました。それは防衛に関係がある、どんな設備だったのでしょうか?(※熊本城公式サイトは67と示しており、多少誤差があります)
……正解はこの後……
正解は、見張り台に当たる櫓(やぐら)。天守閣を守るために66もの櫓が設置されていたのです。さらに熊本城には、敵の勢いを止め、弓矢や火器で攻撃を加える曲がり角(桝形)が、6つ連続で設置されています。これは全国に例がない仕掛けです。
余談ですが、この記事を書いているとき、TBSテレビで欠陥住宅を扱っており、階段の段差が1つ1つ異なるという住宅がありました。人が転びやすくなる欠陥です。実は熊本城にも、わざと間隔をバラバラにした石垣が設置されています。
これらの守りは、南に恐ろしい敵がいたから。戦国最強とも言われる、薩摩の島津氏です。
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以下、「城下町総選挙」7~10位も紹介しておきます。いずれもブラタモリは訪ねています。
第7位 高山城下町(岐阜県)
第8位 会津若松城下町(福島県)
第9位 名古屋城下町(愛知県)
第10位 小田原城下町(神奈川県)
なお、第11位から20位のお城は、ブラタモリは7つを訪問していました。 列挙しておくと、11位から順に、松本城、川越城、伏見城、彦根城、犬山城(未訪問)、角館城(未訪問)、松江城、竹田城(未訪問)、萩城、弘前城です。
ブラタモリでも「城下町総選挙」でも取り上げられた、数々の名城。ぜひこの夏に訪ねてみてください!
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