北海道「一日の気温差30℃」観測 では世界記録は?
3日(水)の北海道東部は、夏と冬が混在するような激動の一日となりました。
釧路市阿寒町中徹別(なかてしべつ) では、朝4時の気温が氷点下1.8度であったものの、14時には28.4度まで上がり、10時間で30度も気温が上昇しました。実はこの町は、8年前にも、一日で29.7℃も気温が下降したことがあるようです。今回と同じくこの時も、フェーン現象が関係していました。
また気温の変化に伴って、湿度も大きく変化しました。一般的に気温が上がると湿度が下がりますが、例えば旭川では、3日朝の湿度が90%以上あったのに、昼間は砂漠並みの10%台まで下がっていました。
「日較差」
1日のうちの気温変化を「日較差」と呼びますが、これまでにも際立った記録が観測されています。例えば2007年2月には長野県菅平において、24時間で31.5度(11.2 度→氷点下20.3度)も気温が下降したことがあります。
世界の寒暖差の記録
31.5度でもすごいのですが、ギネスブックに登録されている世界一の気温下降記録は、1916年1月23日に米・モンタナ州ブラウニングで観測された、56度(7度→氷点下49度)です。よく気温が5度変わると衣類が一枚必要になると言われていますが、このケースでは数時間後に11枚も着込まくてはならず、まさに十二単衣の世界といったところでしょうか。
また1943年1月22日には、米・サウスダコタ州のスピアフィッシュで、わずか2分の間に27度(氷点下20度→7度)も昇温したことがあります。
この原因は「チヌーク」と呼ばれる局地風が起こしたフェーン現象で、ロッキー山脈を越えた高温で乾燥した空気が、麓の町に一気に流れ込み、気温を急上昇させたのでした。
しかし驚くのはこれからで、その2時間後には12度あった気温が、たった27分で氷点下20度まで下がりました。今後はチヌークが吹きやんで、一気に温度が急降下したというわけです。無名なこの町は、望む望まないは別として、1日にして2つもの記録を作り出しました。
もっと長い期間の寒暖差には、次のような記録があります。
2011年米・オクラホマ州ノワタで一週間の気温差が61度(2月10日氷点下35度→2月17日26度)となり、1936年米・ノースダコタ州パーシャルでは、2月から7月の間の寒暖差が100度(2月15日氷点下51度→7月6日49度)に達しました。
温度差がもたらすもの
気温が急激に変化することは、健康上厄介なことですが、上記の記録ほど極端でなければ、美味しい農作物を作るのには適しているようです。高原野菜は、夏の大きな日較差によってさらに美味しくなります。
さらに、一年を通しての気温変化も面白い現象を引き起こします。例えばパリのエッフェル塔は、夏場、高温で金属が膨張し、冬よりも17センチ高くなると言われています。