「地球から冷蔵庫をなくしたい」発明以来200年技術が同じ冷蔵庫を鮮度維持庫に変え食品ロスを減らしたい
世界初の電気冷蔵庫が発明されたのは1834(天保5)年。米国の発明家パーキンスが世界で初めての圧縮式の冷凍方式を開発した(東芝未来科学館 公式サイトより)。
冷蔵庫の基本的な機能は発明以来変わっていない、と話すのが、株式会社エバートロン代表取締役の田中久雄氏だ。
株式会社エバートロンは昭和43年(1968年)11月4日に設立された。社名の「エバートロン」は「永遠の電子」の略。独自の水分子コントロール技術で、揚げ物の衣の油吸収率を平均50%削減する「Dr. Fry(ドクターフライ)」や「Dr.Fry-2」など、プロのシェフがこぞって活用する機械を生み出してきた。
冷蔵庫の鮮度維持期間を数倍にする「フレッシュトロン」を開発
このたび、エバートロンが開発したのが、鮮度維持装置の「フレッシュトロン」。冷蔵庫の鮮度維持期間を数倍長くするという。
実際に、この装置を使って、日本で獲れた魚を海外の飲食店に送る、という実験過程について、2017年10月24日に放送されたテレビ東京系列の番組「ガイアの夜明け」で紹介されていた。
筆者は2017年10月16日、レビューをしている映画『0円キッチン』のトークイベント(於:クックパッド本社)で監督ダーヴィド・グロス氏と登壇した際、株式会社エバートロンの代表取締役の田中久雄氏と、広報室ディレクターの松村美波氏とご挨拶していた。前述のテレビ番組が放映されたのは、その一週間後だ。
一般の冷蔵庫だと傷んでしまうタイを、5日間、鮮度保持できる
鮮度を維持する装置「フレッシュトロン」では、2枚の電極を使っている。
35日間保蔵した豆苗は水分の蒸発を抑制
野菜に関しては、豆苗(とうみょう)の実験結果が披露された。
35日間保蔵した場合、冷蔵庫では重量が85%まで減少した。水分が蒸発したためである。緑の部分も褐変(茶色く変化)している。
一方、フレッシュトロンで保蔵した場合、重量変化は92%に留まった。
一般の冷蔵庫の野菜室で8日間保蔵した青梗菜(チンゲンサイ)
野菜や果物などに含まれる水分を維持させることは、鮮度を保つことにつながる。
ちなみに8日間、一般の冷蔵庫の野菜室(温度6度)で保存した青梗菜(チンゲンサイ)は、葉っぱがしなびて、黄色くなってきた。
出荷調整・廃棄ロス削減・原価コストダウンなどに貢献
フレッシュトロンは、世界中の食料倉庫に革命を起こしたいと考えて開発された。
さまざまな問題に貢献することが期待できる。たとえば食材を入れた時の品質や鮮度を長期間維持する「鮮度維持」、水分の蒸発を抑制する「乾燥予防」、廃棄率を削減させる「食品ロス削減」、飲食店では、食材を安価な時期に購入することで原価を下げることができる「原価のコストダウン」、地域格差や季節格差をなくす「出荷調整」など。
ある食品メーカーでは、農産物が収穫された時の状態をできるだけ長く維持するため、独自の倉庫を開発し、保蔵している。
家庭での食品ロスが最も多いのは野菜類だ。「フレッシュトロン」が、事業者はもちろん、家庭での食品ロス(フードロス)削減に寄与することが期待される。
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