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ルーキーがデビューから3試合続けて盗塁を記録する。次の試合はあの捕手を相手に…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブランドン・クロフォード(左)とアンソニー・ボルピー Mar 30, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 アンソニー・ボルピー(ニューヨーク・ヤンキース)は、開幕から3試合とも「9番・遊撃」として出場している。ここまでは、9打数2安打、2四球。どの試合も塁に出て、盗塁を記録した。3月30日と4月1日が二盗、4月2日は三盗だ。失敗はなく、3盗塁目は、一塁走者のグレイバー・トーレスとダブル・スティールを成功させた。

 開幕直前に「ヤンキースの「9番・遊撃」としてデビューはジーターと同じ。生まれた州、右打者、ドラフト1巡目も共通」で書いたとおり、ボルピーは、まだメジャーデビューしたばかりだ。

 MLB.comのサラ・ラングスによると、1901年以降、キャリア最初の3試合とも盗塁を記録したのは、1913年のフリッツ・マイゼル、1990年のレイ・ランクフォード、1992年のパット・ハウエル、2013年のビリー・ハミルトン(現シカゴ・ホワイトソックス)に続き、ボルピーが5人目だという。

 通算盗塁は、マイゼルが194、ランクフォードが258、ハウエルが4、ハミルトンは324。マイゼルは、1914年に盗塁王(74盗塁)となっている。ハミルトンは、2014~17年に4年続けて50盗塁以上ながら、盗塁王は皆無。この4シーズンと34盗塁の2018年は、いずれもナ・リーグ2位に位置した。

 ハミルトンは、デビューから3試合にとどまらず、4試合目も盗塁を記録している。4試合とも、代走出場で二盗。ホームを3度踏んだ。打席には立たず、守備にもついていない。ちなみに、そのうちの3試合は、ライアン・ラドウィックに代わって出場した。5試合目は、途中からセンターを守り、2打席に立ってどちらもアウトになり、塁には立たなかった。

 ボルピーは、次の試合も盗塁を成功させれば、ハミルトンに並ぶということだ。4試合目に続いて5試合目も盗塁を記録すると、ハミルトンを超える。

 ただ、そう簡単にはいきそうにない。ヤンキースは、4月3日~5日にフィラデルフィア・フィリーズと3試合を行う。

 フィリーズの捕手は、J.T.リアルミュートだ。スタットキャストによると、リアルミュートの二塁送球のポップ・タイム――投手の投げた球がミットに触れてから、捕手の送球が野手の捕球するであろうポイントに達するまでにかかる時間――は、他の捕手よりも短い。

 2022年にリアルミュートが記録した平均1.82秒のポップ・タイムは、二盗を5度以上試みられた捕手のベスト。昨シーズンだけでなく、2018年から5年続けて1位だ。

 なお、デビューからの連続試合ではなく、デビューからの連続成功は、ティム・ロカストロの(現ニューヨーク・メッツ)の29盗塁が最長だ。そのストリークについては、新記録を樹立した時に「初めて牽制でアウトになった試合で「連続盗塁の最長記録」を樹立する。デビューから失敗なしで28盗塁」で書いた。

 ボルピーの背番号については、こちら。

「まもなくデビューの遊撃手はヤンキース「最小の背番号」を背負う。その前に使用していたのは…」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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