Yahoo!ニュース

投手三冠で沢村賞を逃したのは1人だけ。千賀滉大は2人目になる!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
江川卓/法政大時代 OCTOBER 15, 1977(写真:山田真市/アフロ)

 千賀滉大(福岡ソフトバンクホークス)の「投手三冠」が確定した。防御率2.16は2位の山本由伸(オリックス・バファローズ)より0.04低く、11勝は涌井秀章(東北楽天ゴールデンイーグルス)と並んでいる。奪三振149は山本と同数だ。オリックスと東北楽天は、すでに120試合を終えた。あと1試合を残している球団に、千賀を上回る投手は見当たらない。

 投手三冠は、千賀の前に延べ20人が記録している。稲尾和久は、1958年と1961年の2度だ。そのうち、沢村栄治賞に選ばれたのは10人。ただ、沢村賞は1947年に制定され、1950~88年はセ・リーグの投手だけが対象とされた。この賞ができる前と対象外だった時代のパ・リーグの投手を除くと、投手三冠の11人中10人が沢村賞を手にしている。投手三冠で沢村賞を逃したのは、1981年の江川卓しかいない。この年は、江川のチームメイトである西本聖が受賞。大いに疑問が残る選出となった。

筆者作成
筆者作成

 今シーズンの千賀は、1981年の江川に続き、投手三冠にもかかわらず沢村賞を逃すのではないだろうか。

 千賀の121.0イニングに対し、大野雄大(中日ドラゴンズ)は148.2イニング、菅野智之(読売ジャイアンツ)は132.1イニングを投げている。1登板の平均イニングも、3人のなかでは千賀が最も少ない。それぞれの完投は、大野が10試合、菅野が3試合、千賀は1試合だ。リーグが異なることもあって比較は難しいが、他のスタッツを併せても、個人的には大野がふさわしいと思う。

 なお、投手三冠の20人中、MVPは7人。そこには、1981年の江川も含まれる。

 また、1958年のセ・リーグと1978年のパ・リーグ、1999年のセ・リーグは、投手三冠がいたものの、そうではない別の投手がMVPに選ばれている。それぞれ、金田正一鈴木啓示上原浩治ではなく、藤田元司山田久志野口茂樹がMVPを受賞した。選出された3投手がいたのは、いずれもリーグ優勝した球団だった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事