新ルールは6年ぶりに「50盗塁以上のスピードスター」を生むのか。過去5年のシーズン最多は47盗塁
すでにエキシビション・ゲームで導入されているとおり、今年から、本塁を除く3つのベースは、15インチ×15インチ(約38.1cm×約38.1cm)→18インチ×18インチ(約45.7cm×約45.7cm)と大きくなる。
一塁ベースと三塁ベースの置き方は、ファウル・ラインと外野側の辺の位置が従来と同じなので、二塁方向と本塁方向へ3インチ(約7.6cm)ずつ近くなる。一方、これまでと中心を合わせる形で置く二塁ベースは、一塁方向と三塁方向(とレフト方向とライト方向)へ各1.5インチ(約3.8cm)近づく。
これにより、一塁ベースと二塁ベース、二塁ベースと三塁ベース、それぞれの間はマイナス4.5インチ(約11.4cm)となる。88フィート1.5インチ(約26m86cm)から87フィート9インチ(約26m75cm)に縮まる。
また、投手によるピック・オフは、各塁への送球とプレートを外す行為を含め、1打席につき2度に制限される(その打席内に走者が進塁の場合、回数はゼロに戻る)。3度目の牽制を試みても構わないが、それによって走者をアウトにできなかった場合は、自動的に進塁となる。ちなみに、捕手による牽制に回数制限はない。
CBSスポーツのマイク・アクシサが書いた、3月27日の記事によると、スプリング・トレーニングのエキシビション・ゲームで盗塁を試みる回数は、昨春の1試合平均0.77から今春は1.13に増え、盗塁成功率も73%→79%と上昇しているという。
今年は、盗塁が一気に増える可能性もある。ベースの拡大とピック・オフの制限に加え、こちらも新ルールのピッチ・クロックも、影響を及ぼすかもしれない。
2017年に60盗塁のディー・ストレンジ-ゴードンと59盗塁のビリー・ハミルトン(現シカゴ・ホワイトソックス)を最後に、シーズン50盗塁以上の選手は途絶えている。
過去5年(2018~22年)のシーズン盗塁トップ10は、以下のとおりだ。45盗塁以上ですら、3人しかいない。ちなみに、その前の5年(2013~17年)は、5人が延べ10度、50盗塁以上を記録している。
ただ、今年、チームやメジャーリーグ全体の盗塁は増えても、50盗塁に達する選手が出てくるかどうかは、予測が難しい。
例えば、過去5年にシーズン40盗塁以上を記録した7人(延べ9人)のうち、レギュラーとして開幕を迎えそうな3人、スターリング・マーテイ(ニューヨーク・メッツ)、ウィット・メリフィールド(トロント・ブルージェイズ)、トレイ・ターナー(フィラデルフィア・フィリーズ)は、昨年、それぞれ、18盗塁、16盗塁、27盗塁だった。