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灰皿のデザインを変えると人の行動は変わるか ノルウェーのタバコのポイ捨て実験

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員
黄色い灰皿で「タバコのポイ捨て」を考えてもらう工夫とは?Photo:Abumi

北欧ノルウェー、首都オスロの中心部を歩いていると、とある「黄色い箱」が目に入ることがある。

設置場所は人通りの多い道路や駅。目立つ色なので、「何だろう?」とつい目がいってしまう。

箱はタバコの灰皿代わりとなっていた。

Photo: Asaki Abumi
Photo: Asaki Abumi

「オスロの通りでは、毎日どれほどのゴミが捨てられていると思う?」という質問に対し、ふたつの回答が用意され、正しいと思うほうに、使い終わったタバコを捨てるだけ。

それだけの簡単な灰皿なのだが、ゴミのポイ捨てについて考えさせる上手な仕組みだと思った。

ナショナルテアートレ地下鉄駅では、若い男性が箱をじっと見ながら、たばこの吸い殻を捨てていた Photo: Asaki Abumi
ナショナルテアートレ地下鉄駅では、若い男性が箱をじっと見ながら、たばこの吸い殻を捨てていた Photo: Asaki Abumi

箱の質問は場所によって違う。

「ノルウェー政府は人間が自然に捨てるゴミ対策をもっとするべきか」、「トイレットペーパーの向きは表向きか裏向きか」。

ふたつの選択肢で答えられる灰皿が、各地に設置されている。

ユニークな灰皿を街に設置したのは、ノルウェーでのゴミ問題解決に取り組むルスケン(Rusken)という団体。

北欧各地を歩いていると、デンマークのコペンハーゲンやスウェーデンのストックホルムに比べて、ノルウェーのオスロでは通りにゴミのポイ捨てが少ないことに気づく。

ゴミ箱の量の多さに加えて、ルスケンのボランティアスタッフや自治体の作業員が頻繁に掃除をしているためだ。

Photo: Asaki Abumi
Photo: Asaki Abumi

灰皿について、ルスケンを取材した。

「タバコのポイ捨てを減らす活動をするSneipfritt団体から、黄色い灰皿をやってみないかという相談があったのです。今回が初めての取り組みで、試験期間中です」

「『タバコの吸い殻は通りではなく、専用のゴミ箱に捨てるんだよ』ということを、市民に意識してもらうことが狙いです」

「質問に答えることで、たばこの吸い殻を捨てて、みんなの答えの結果をバロメーターとして測って見ることができます」

どれほどのタバコの吸い殻がノルウェーで捨てられているかという数は不明だそうだ。

「私たちが5月に4日間ゴミ拾いをしてみたところ、オスロでは10万のタバコと噛みタバコのゴミが集まりました」。

ゴミ捨てに関するキャンペーンはよく見るが、今回の黄色い灰皿はわかりやすく、記憶に残りやすかった。

10万という数字には驚いたとして、団体は今後も活動的にごみのポイ捨てについてのキャンペーンを行っていく予定だそうだ。

Photo&Text: Asaki Abumi

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信15年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。ノルウェー国際報道協会 理事会役員。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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