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藤井王将4連覇か、永瀬九段初の王将獲得か――第74期ALSOK杯王将戦七番勝負展望

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
今年もタイトル戦の防衛戦が続く藤井聡太王将(筆者撮影)

 藤井聡太王将(22)=七冠に永瀬拓矢九段(32)が挑戦する第74期ALSOK杯王将戦七番勝負(スポーツニッポン新聞社・毎日新聞社主催)は1月12、13日に静岡県掛川市「掛川城 二の丸茶室」で第1局が行われる。

 藤井王将にとっては4連覇が、永瀬九段にとっては初の王将獲得がかかる。両者のタイトル戦対決はこれまですべて五番勝負だったが七番勝負は初めてとなる。

 データを基に勝敗と展開を予想してみた。

<王将戦七番勝負日程>

第1局 1月12、13日 静岡県掛川市「掛川城 二の丸茶室」

第2局 1月25、26日 京都府京都市「伏見稲荷大社」

第3局 2月5、6日 東京都立川市「オーベルジュ ときと」

第4局 2月15、16日 大阪府高槻市「摂津峡花の里温泉 山水館」

第5局 3月8、9日 埼玉県深谷市「旧渋沢邸『中の家』」

第6局 3月21、22日 佐賀県三養基郡「太幸園」

第7局 3月29、30日 栃木県大田原市「ホテル花月」

藤井王将の調子はいまひとつ? 挑戦者は絶好調で接戦必至

<藤井王将の最近10局>(放映前のテレビ対局を除く)

9月30日 王座戦五番勝負第2局

対永瀬九段 ○

10月5、6日 竜王戦七番勝負第1局

対佐々木勇気八段 ○

10月19、20日 竜王戦七番勝負第2局

対佐々木八段 ●

10月25、26日 竜王戦七番勝負第3局

対佐々木八段 ○

11月2日 将棋日本シリーズ準決勝

対広瀬章人九段 ●

11月4日 NHK杯本戦

対澤田真吾七段 ○

11月15、16日 竜王戦七番勝負第4局

対佐々木八段 ●

11月27、28日 竜王戦七番勝負第5局

対佐々木八段 ○

12月11、12日 竜王戦七番勝負第6局

対佐々木八段 ○

1月8日 叡王戦本戦

対増田康宏八段 ○

<永瀬九段の最近10局>

11月1日 伊藤園お~いお茶杯王位戦

対黒沢怜生六段 ○

11月7日 順位戦A級

対豊島将之九段 ○

11月11日 ALSOK杯王将戦リーグ

対佐々木勇気八段 ○

11月14日 ALSOK杯王将戦リーグ

対羽生善治九段 ○

11月20日 ALSOK杯王将戦リーグ

対近藤誠也七段 ○

11月25日 ALSOK杯王将戦リーグプレーオフ

対西田拓也五段 ○

11月28日 伊藤園お~いお茶杯王位戦予選

対佐藤天彦九段 ○

12月10日 順位戦A級

対中村太地八段 ●

12月18日 伊藤園お~いお茶杯王位戦予選

対広瀬章人九段 ○(千日手指し直し)

1月9日 叡王戦本戦

対黒沢六段 ○

 藤井王将の直近10局は7勝3敗と8割ペースが通常の藤井王将にしては「いまひとつ」を感じさせる星取り。佐々木八段の挑戦を受けた竜王戦七番勝負で周到な研究に苦しめられたのが主な原因と考えられるが、追われる立場にあるトップ棋士の宿命でもある。

 一方挑戦者の永瀬九段は9勝1敗と絶好調で調子は差がある。永瀬九段は初の2日制七番勝負に向け万全の準備をしてくるだろうから接戦になることは間違いない。

永瀬九段の秘策に注目

 過去の直接対決は藤井王将が18勝7敗(2千日手)と大きく勝ち越しており、総合的には藤井王将やや優位とみていいだろう。

 居飛車党の両対局者、最近の戦型選択傾向から、藤井王将先手なら角換わり志向。後手の永瀬九段は素直に受けると思われるが、雁木や横歩取りなどの「変化球」を用いる可能性もある。

 永瀬九段先手の場合は角換わり中心で、シリーズ中のどこかで矢倉や相掛かりの新研究をぶつけるかもしれない。

 過去の敗戦を糧に、毎日10時間は将棋の勉強をするといわれる永瀬九段が今回の七番勝負にどのような秘策で臨むか注目だ。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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