アメリカ合衆国の日本への一般人の信頼度73%・有識者は88%(2024年公開版)
外務省が2024年3月に発表したアメリカ合衆国における対日世論調査「米国における対日世論調査」(※)の結果によると、同国の一般人の73%・有識者の88%が「日本を信頼できる友邦国である」と認識していることが分かった。
なお2019年度までは提示選択肢は単純に「信頼できる」「信頼できない」「分からない」のみだったが、2020年度からは「信頼できる」「どちらかというと信頼できる」「どちらかというと信頼できない」「信頼できない」「分からない」と細分化されている。グラフ上の表記や分析の上では、「信頼できる」「信頼できない」の合算を「信頼できる」、「どちらかというと信頼できない」「信頼できない」の合算を「信頼できない」として勘案する(発表されている結果概要報告書でもこの方法が用いられている)。
有識者に対しては1993年度以降に設問が用意されているが、今世紀に入ってからはほぼ9割を維持している。2015年度分はやや下がって83%と9割を割り込んだが、2016年度はいくぶんの持ち直しを示した。一般人については多少の上下を繰り返しながら1990年度代以降は上昇傾向にあり、2012年度においては2011年度から続く形で、それまでの最高値となる84%を記録した。一方それ以降は減少傾向にあり、2015年度でようやく底打ちし、2016年度では大きく上昇し、有識者に近づく形となった。そして2017年度では、はじめて一般人の値が有識者の値を上回る結果が出ている。
直近年度となる2023年度分では、前年度比で一般人は1%ポイント上昇、有識者は5%ポイントの減少。両者の値はやや近づいたが、有識者の方が高い状態が続いていることに変わりはない。
なお有識者の大きな減少について原因を推し量ることは難しいが、今設問に限らず多くの設問で有識者の対日感情だけでなく対韓・対オーストラリアの感情悪化とともに、中国とインドに対する急激な良好化が確認できる。設問そのものや調査対象母集団の選び方に違いはないことから、回答票に何か変化があった可能性はあるが、それを確認することはかなわない。
「信頼できる」と回答した人にその理由を複数回答で尋ねたのが次の結果。一般人と有識者とでは傾向が異なり、有識者の方が高い値=多方面の理由を挙げている。
一般人では一番の理由は「友好関係」、そして「経済的結びつき」が続く。一方で有識者では「経済的結びつき」がもっとも高く、そして「友好関係」が続く。「世界経済(の)安定・発展貢献」も第3位という順位は変わらないものの、一般人と有識者の間では回答値には大きな差が生じている。ちなみにそれに続くのは一般人では「魅力ある文化」だが、有識者では「国際秩序(への)安定貢献」となっている。
差異はあるが一般人は有識者と比べて大きく差を開ける形で低い値を示しており、一般人は「世界における日本の具体的な影響力は期待したほど高いものではない」との認識があるようにも解釈できる(公開資料の限りでは両者で質問の様式が異なるようには見えない)。
選択肢の中で一番低い回答値は、一般人は「国際社会における開発協力」、有識者は「価値共有」。それぞれの日本に期待している、注目している(そして失望している)観点の違いが表れているようで興味深い。
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※米国における対日世論調査
直近分は外務省がハリス社に委託し、アメリカ合衆国内において2023年11月20日~2024年1月29日に実施されたもので、有効回答数は一般人1000人(18歳以上)・有識者204人(連邦政府、大企業、マスメディア、労働組合、宗教団体、アカデミアなどで指導的立場にある人物)。インターネット経由で実施されている。過去の調査もほぼ同条件で実施されている。
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