イスラエルがシリアをミサイル攻撃する中、ポンペオ米国務長官は歴代長官として占領下ゴラン高原を初訪問
イスラエル占領下のゴラン高原で仕掛け爆弾が発見される
イスラエル軍のアヴィハイ・アドライ報道官は11月17日、ツイッターを通じて、シリア政府の実効支配地域を隔てる境界線(B-Line)に近い占領下のゴラン高原南部で仕掛け爆弾複数発を発見し、工兵部隊がこれを解除したと発表した。
アドライ報道官はそのうえで、次のように付言し、報復を予告した。
イスラエル軍がシリア領内を攻撃
アドライ報道官の発表から数時間を経た11月18日未明、シリア国営通信(SANA)は、イスラエル軍が午前3時11分(現地時間)、占領下のゴラン高原からシリア南部に対してミサイルを発射、シリア軍防空部隊が迎撃し、ミサイル多数を撃破したと伝えた。
この攻撃に関してイスラエルのアドライ報道官も、ツイッターなどを通じて、イスラエル軍戦闘機複数機が前日の報復予告の通り、シリア領内にあるイラン・イスラーム革命防衛隊ゴドス軍団やシリア軍の標的複数カ所を破壊したと発表した。
アドライ報道官はまた、この攻撃でシリア軍防空部隊の倉庫、司令本部、地対空ミサイルの発射施設を破壊したと付言し、攻撃の瞬間の映像や画像を公開した。
アドライ報道官はさらに、18日に発見されたとされる爆発物の写真、敷設場所の地図も合わせて公開した。
攻撃の被害状況
イスラエル軍によるシリア領内への攻撃は9月21日以来約2ヶ月ぶり。
米アラビア語テレビ放送局のフッラ・チャンネルは、攻撃がダマスカス郊外県のダマスカス国際空港一帯、サイイダ・ザイナブ町一帯、キスワ市一帯のシリア軍防空部隊拠点、レバノンのヒズブッラーなど「イランの民兵」の拠点、武器弾薬庫などに対して行われたとしたうえで、シリア軍士官1人と同軍防空部隊兵士2人、イラン・イスラーム革命防衛隊所属と思われるイラン人5人、そしてレバノン人あるいはイラク人と思われる2人が死亡したと伝えた。
また、標的となった施設のなかには、イランの高級レベルの高官や使節団を接待するための極秘拠点も含まれていたと伝えた。
ポンペオ米国務長官が歴代国務長官として初めて占領下のゴラン高原を訪問
イスラエルを訪問中のマイク・ポンペオ米国務長官は11月19日、1967年以来イスラエルが占領を続けているゴラン高原を訪問した。
歴代国務長官が占領下のゴラン高原を訪問するのはこれが初めて。
これに関して、シリアの外務在外居住者省筋は、「ドナルド・トランプ政権の任期終了を間近に控えたなかでの挑発行為、シリア・アラブ共和国の主権侵害」だとして、「もっとも厳しい表現」で批判した。