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エンジェルス入団のユーティリティは出遅れる遊撃手の穴埋めに加え、二塁のレギュラーとなる可能性も!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ケビン・ニューマン(上)とAug 11, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 11月14日、ロサンゼルス・エンジェルスは、内野手のケビン・ニューマンと1年契約を交わしたことを発表した。この契約は、2025年の年俸250万ドルに、2026年の球団オプション、年俸250万ドル(解約金25万ドル)がついている。また、ニューマンを40人ロースターに入れるのに伴い、捕手のマット・タイスをDFAとした。

 ニューマンは、2024年にアリゾナ・ダイヤモンドバックスで111試合に出場し、打率.278と出塁率.311、3本塁打、OPS.686を記録した。先発出場は、遊撃が48試合と二塁が29試合に、一塁と三塁が1試合ずつ。3イニングだけ、レフトの守備にもついた。

 2015年のドラフトでピッツバーグ・パイレーツに全体19位指名を受け、メジャーリーグ2年目の2019年は、打率.308と出塁率.353、12本塁打、OPS.800ながら、エンジェルスがその再現を期待しているとは思えない。過去2シーズン(2022~23年)の出塁率とOPSは2024年とほぼ変わらず、その前の2シーズン(2020~21年)はさらに低い。

 エンジェルスでは、遊撃手のザック・ネトが右肩の手術を受け、来シーズンの開幕には間に合わない見込みだ。ニューマンは、ネトがいない間、遊撃を守ると思われる。

 ネトは、9月26日に二塁へヘッド・スライディングをした際、右肩を痛めた。そこから手術までは、1ヵ月以上も空いている。復帰がいつになるのかは不明だが、もっと早く手術に踏み切っていれば、開幕に間に合っていたかもしれない。少なくとも、出遅れる期間は、今より短くて済んだはずだ。

 タイスは、マスクをかぶるだけでなく、内野を守ったこともあるが、遊撃の経験は皆無なので、ネトの穴埋めにはならない。エンジェルスは、タイスに代わるバックアップの捕手として、ニューマンの前に、トラビス・ダーノーと契約を交わした(「エンジェルスはベテラン捕手を2年1200万ドルで迎え入れる。正捕手のオホッピーがいるのに必要!?」)。

 ネトの復帰後、ニューマンは、ユーティリティとして起用されるだろう。ただ、三塁手のアンソニー・レンドーンは、とにかく怪我が多い。ここ4シーズンとも、欠場は100試合を超えている。4シーズンの合計ではなく、各シーズン100試合以上の欠場だ。

 来シーズンも、レンドーンが同様の場合――そうならないことを願うが――現時点のメンバーからすると、ルイス・レンヒーフォが二塁から三塁へ移り、ニューマンは、二塁を定位置とするのではないだろうか。一塁から反時計回りに、ノーラン・シャヌエル、ニューマン、ネト、レンヒーフォの内野カルテットだ。短期間の穴埋めや控えなら、好守のニューマンは適任だが、レギュラーとしては、打てなさすぎる気がする。

 ニューマンが常時出場なら、控えの内野手は、今月初旬の金銭トレードでフィラデルフィア・フィリーズから移籍した、スコット・キンガリーが筆頭候補だと思われる。ニューマンと同じく、キンガリーも、2015年のドラフトで指名された。こちらも順位は高く、2巡目・全体48位だ。もっとも、ここ2シーズンのメジャーリーグ出場はなし。両シーズンとも、AAAで115試合以上に出場した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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