「金正恩の娘」が別格扱いにされていた!「後継者」に「当確」!?
一昨年11月に大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」の発射が成功した際にお披露目された「ジュエ」と称される金正恩(キム・ジョンウン)総書記の愛娘が北朝鮮の「4代目」になるのではと、韓国では年初から関心を集めている。
米国の対北心理戦メディアである「自由アジア放送」(RFA)などは早くも昨年2月の段階で「ジュエ」という名の女性の改名キャンペーンが北朝鮮国内で始まったと報じ、11月にも「ジュエが『朝鮮の新星』とか『女将軍』と呼ばれている」との情報を流していたが、どれも確認のしようのない情報であった。
昨年、筆者は12月20日付の「『娘』を20回も連れ出したのはやはり後継者だから?『金正恩40歳』の来年1月8日に注目!」という見出しの記事で「後継者ならば父親の40歳を機に別な敬称が用いられる可能性も考えられなくもない。また、娘が後継者であることを暗示するような記事が登場することも考えられる」と書いたが、早くも変化が見られた。
(参考資料:「娘」を20回も連れ出したのはやはり後継者だから?「金正恩40歳」の来年1月8日に注目!)
昨日(4日)、金総書記はICBMの発射台などを生産する軍需工場を視察したが、朝鮮中央通信は「尊敬するお嬢様が同行した」と伝えていた。
父親と似たような格好をして現れた「ジュエ」はこれまでは金総書記が「愛するお嬢様と共に現れた」とか「尊敬するお嬢様と共に参観した」と、父親とワンセットで報じられていた。
それが、今回は単独の扱いである。それも、随行した党序列3位の政治局常務委員の趙甬元(チョ・ヨンウォン)ら党幹部及び叔母の金与正(キム・ヨジョン)党副部長らを差し置いて、先に報じられていた。
また、視察した写真が11枚配信されていたが、全部に「ジュエ」は写っていた。こうしたこともかつてなかったことだ。例えば、昨年12月18日のICBM「火星18」の発射に立ち会った際には配信された25枚の写真の内、写っていたのは5枚だけだった。
もう一つの変化は元旦に「2024年の新年慶祝大公演」を鑑賞していたことだ。これまでの20回のうち18回が軍事関連だった。唯一の例外は祖父・金正日(キム・ジョンイル)前総書記の誕生日(2月16日)に行われた「2月名節記念体育競技」の参観と、同じく曾祖父・金日成(キム・イルソン)主席の誕生日(4月15日)に行われた内閣府と国防省の対抗サッカー試合の観戦ぐらいだった。
今年からは軍関連に限らず、その他の国内の行事にも積極的に顔を出すことで「後継者」としての地位を固めようとしていることを暗示しているようでもある。
さらに、朝鮮中央通信は「金正恩総書記が『尊敬するお嬢様』と女史と共に観覧席に姿を現すと、場内は激情のるつぼと化した」と伝えていたが、夫人については「李雪主」という名前を省略していた。名前を明記しないのもまた、異例である。これまでは必ず「愛するお嬢様と李雪主夫人」とか「尊敬するお嬢様と李雪主夫人」と紹介してきた。
娘と母を明らかに差別化していた。親子関係ではなく、娘を一人前扱い、それも特別扱いにしているからに他ならない。
韓国の情報機関・国家情報院(国情院)の趙太庸(チョ・テヨン)次期院長は昨日提出した人事聴聞会の答弁書で「ジュエ」について「現在としては有力な後継者」との見解を明らかにしていた。
国報院は昨年3月に開かれた国会情報委員会で金総書記には子供が3人いて、第3子の性別は不明としながらも第1子についてはほぼ間違いなく「男の子」と断定していた。さらに、昨年9月には国会情報委員会に「北は『白頭血統』に対する執着が強く、男性中心社会のため、現段階でキム・ジュエを後継者と判断するのは性急だ」と報告していた。
国情院や北朝鮮担当部署「統一部」では最近では「息子はいないのでは?」「ジュエが第1子では?」「子供は3人でなく、2人では?」と言い始めたようだが、結局のところ、この件では国情院は「金ロイヤルファミリー」については何一つ的確な情報を掴んでいなかったことを図らずも露呈してしまったことになる。だとすれば、情報機関としての信頼性が問われることになるであろう。