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神奈川の突風・日本の竜巻

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
竜巻の参考写真(写真:アフロ)

今日(17日)、14時すぎ、神奈川県で竜巻とみられる突風が発生しました。

街路樹が根こそぎなぎ倒れ、屋根瓦が飛ぶなどの被害が発生し、少なくとも3人がケガをしました。なお、一般的に屋根瓦が飛ぶ風速は、約25メートル以上と言われています。

関東地方には停滞前線がかかっており、暖かく湿った空気が流れ込んでいました。特に、突風が発生した14時10分頃には、非常に発達した積乱雲が、神奈川県東部を通過。レーダーからも、その時間に激しい雨が降っていたことが分かります。

クレジット:気象庁
クレジット:気象庁
矢印で示したところが、突風が発生した地域。クレジット:気象庁
矢印で示したところが、突風が発生した地域。クレジット:気象庁

現在気象庁の職員が調査中ですが、その被害から、この突風の強さは、F0(6段階の藤田スケールの中で最も弱い。推定風速17〜32メートル。)ではないかと思われます。

神奈川の竜巻

ところで、神奈川県で竜巻が発生するのは珍しいことでしょうか。

気象庁の竜巻データベースを見ると、1961年からの統計で、7つの竜巻が陸上で発生しています。そのうち3つは、今回被害のあった横浜市と藤沢市で起きています。

竜巻発生数を面積で割って、47都道府県で比較すると、神奈川県は14番目に竜巻が発生しやすい地域となります(1961~2013年)。つまり、日本の上位3分の1に含まれています。

全国竜巻発生ランキング(「竜巻のふしぎ」共立出版)
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今年の竜巻

日本では、年間で平均25個の陸上竜巻が発生します(2007~2014年)。今年はこれまでのところ、約10個の竜巻が観測されています。最近のものは、8月13日に栃木県芳賀町で起きた、F0の竜巻です。納屋が壊れたり、家の屋根瓦がめくれるなどの被害が起きました。

日本はこれから竜巻のシーズンに突入します。最も発生数が多いのは、9月、続いて10月です。なぜかと言うと、台風が竜巻を発生させるからです。例えば、2013年の台風18号は、過去最多となる10個もの竜巻を発生させました。台風の接近数が多い秋の初めころは、竜巻の数も多くなります。

竜巻への備え

国内の竜巻一個当たりの被害家屋は、およそ30棟です。つまり、竜巻は非常に局地的な現象であって、ほとんどの人が竜巻に遭遇しないで、生涯を過ごすことになります。しかし、竜巻は地球上で最も強い風を起こす自然現象です。もし遭遇すれば、甚大な被害が出ます。そのために、あらかじめ、適切な避難行動を知っておくことが大事かと思います。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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