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韓国で東日本大震災以来、M4以上の地震が18回も発生! 懸念される「白頭山噴火」と北朝鮮の核実験

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
赤いマークが地震の震源地(韓国気象庁のHPから筆者キャプチャー)

 韓国で今朝(午前6時半頃)「北東部の江原道東海市沖、北東52kmでマグニチュード(M)4.5の地震が発生した」と韓国気象庁が発表していた。

 震源の深さは32kmと推定されていたが、東海市と近隣の三陟市、江陵市では家が揺れたものの幸いにも大きな被害は出なかったようだ。

 韓国気象庁によると、東海市近くでは4月23日以降、35回の地震が発生し、今朝の地震はその中で最も規模が大きかったようだ。

 今年に入って朝鮮半島及び周辺の韓国海域ではM2以上の地震が44回も発生しているが、M4以上はこれが初めてで、昨年11月に忠清北道トクェ山郡の北東側11kmの地域で起きたM4.1の地震以来6か月ぶりである。

 朝鮮半島は古くから日本列島と違い滅多に地震が起きないことで知られていた。実際に東日本大震災が発生した2011年の前までは月に1~2回程度しか観測されていなかった。それも小規模の地震だった。ところが、2011年以降は多い月で300回以上も起きている。規模もM3~4に上がっている。

 韓国気象庁の統計では2011年以後、M4以上の地震は18回発生している。そのうちの7回はこの5年間で発生している。

 韓国地質資源研究院のイ・ヨンス博士の論文によると、鬱陵島(ウルルンド)は過去1万2000年の間に4回の噴火が起きた活火山だが、はるか昔に「死んだ火山」と言われ、最近まで火山活動は全く観測されていない。

 しかし、7年前に国際科学ジャーナル「地球物理学研究:地球」に掲載されたスイス連邦工大のアンドレアス・ホィットニー教授ら研究陣の論文には鬱陵島の直下50kmに幅300km、深さ100kmの巨大な「マグマだまりがある」と指摘されていた。

 韓国では鬱陵島が再び噴火するのではないかと憂慮されているが、鬱陵島以上に懸念されているのが北朝鮮最北部に聳える白頭山(ペクトゥサン)の噴火である。韓国の地震学者の一部で韓国国内での地震と白頭山周辺での地震との関連性が指摘されているからだ。

 韓国を含め世界中で4年前に公開された韓国3人のトップスター、イ・ビョンホン、ハ・ジョンウ、それにマ・ドンソクが出演した「白頭山大噴火」はまさにそうした不安を描写した映画だった。

 「速報です!白頭山で火山爆発がありました!」とのアナウンスがあり、噴火の余波が韓国にまで及び、ソウル中心地の江南区で大地震が起き、走っている車が横転し、漢江に津波が押し寄せ, 陸橋も崩壊するフィクションから物語が展開し、最後は南北の工作員と科学者らが協力して、朝鮮半島の沈没を招きかねない第4次噴火を防ぐというあらすじとなっていた。

 フィクション映画なのに韓国では「あり得るかも」と真剣に受け止められた理由は随分前から白頭山爆発の危険性が中国や韓国の学者から警告されていたからだ。実際に韓国や「白頭山」と陸を接している中国、さらに日本も含め米国や英国、イタリアなど欧米の火山専門家らが白頭山火山活動の調査に乗り出している。

 白頭山には2005年に撮られた映像から地下にマグマが溜まっていることも、地下から噴出するマグマによるガスで白頭山の樹木が枯死していることも確認されている。「白頭山大噴火」が封切られる前には汝矣島の国会図書館で「目覚める白頭山噴火、どうすべきか」と題する討論会が開かれ、韓国の学者ら研究員らは白頭山の頂上付近での地殻変動は「深刻な噴火の兆候」と判断していた。

 白頭山はこれまで100年に一度の小噴火と、1000年に一度の大噴火を繰り返してきた。なかでも西暦946年に起きた大規模噴火は世界最大級とも言われる巨大噴火で、その勢いは凄まじく、頂上に直径5kmのカルデラが形成され、火山灰は偏西風に乗って日本の東北地方にも降り注いだ。ちなみに最後に噴火したのが1925年で、この時は小規模であった。

 白頭山が噴火すれば、その規模は欧州の空港を麻痺させた2010年のアイスランドのエイヤフィヤトラヨークトルの火山噴火の1000倍と推定されている。

 仮に噴火が現実となれば、その被害は想像を絶すると言われている。火山の噴出物が空を覆い、約3か月で北半球の平均気温が最大で0.5度C下がるとシミュレーションされている。驚いたことに、釜山大学地球科学教育科のユン・ソンヒョ教授によると「1000年前の1%の噴火でも北朝鮮の人々は生き残れないかもしれない」とのことだ。

 また、釜山大学の研究チームが2015年に国民安全処に提出した「火山災害被害予測技術開発」と題する研究報告書によると東側上空に気圧の谷がある状態で白頭山が噴火すれば、「火山灰が北風に乗って韓国側に流入し、江原道に最大で10.3cmの火山灰が積もることをはじめ、済州、全羅南道、光州を除く韓国全域に少なくて数ミリから多くて数十ミリの火山灰が積もり、農作物被害4兆5千億ウォンを含め11兆1895億ウォンの被害が発生する」と予測されていた。

 北朝鮮は2006年から2017年までに過去6回、核実験を行っているが、核実験場の咸鏡北道吉州郡豊渓里(プンゲリ)ではM3前後の地震が頻繁に発生しており、国連傘下の包括的核実験禁止条約機構(CTBTO)は「(地震は)核実験によって誘発された」と地震と核実験との因果関係を指摘していた。

 核実験場の豊渓里から白頭山まで110km離れていることから白頭山の噴火が誘発されることはないとの研究者の分析もあるが、2017年9月の6度目の核実験の際にはCNNなど米国のメディアは「核実験が白頭山の噴火の引き金になる」とセンセーショナルに伝えていた。

 核実験が引き起こす人工地震と火山爆発との因果関係は完全に排除されていないだけに韓国や中国では白頭山の噴火を引き起こしかねない7度目の核実験の中止を求める声が今後、高まりそうだ。

(参考資料:今年最大の話題作「白頭山」が韓国で公開! フィクションだが、現実となるかも?)

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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