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「日本のご馳走に唐辛子粉を振りまいた」ベトナムが先制点後にドローも大金星と韓国メディアが激賞する理由

金明昱スポーツライター
日本を相手にCKからヘディングで先制点を決めたベトナム(写真:ロイター/アフロ)

 まさかのドロー決着に驚かずにはいられなかった。

 29日に行われたカタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選で、森保ジャパンはベトナムに1-1で引き分けた。

 シュート数は24本の日本に対し、ベトナムはたったの1本という数字が、試合内容を物語っている。

 だが、前半19分にベトナムがCKから先制点を決めた後、リズムよく試合を進める時間帯が確かにあった。

 後半にDF吉田麻也のゴールで追いついた日本は、立て続けに選手を入れ替えたが、ベトナムの粘り強い守備を最後まで崩しきれない決定力に泣かされた形だ。

 この結果を多くの韓国メディアが報じている。それはベトナム代表の指揮官が韓国人のパク・ハンソ監督というのもあるだろう。

 総合ニュースサイト「NEWSIS」は「パク・ハンソ号に唐辛子粉…ベトナムが史上初めて日本戦で引き分け」と見出しを打ち、「W杯本大会には進めなかったが、ベトナムは最後まで諦めなかった。パク・ハンソ監督のベトナムが、日本のご馳走に唐辛子粉を振りまいた。ベトナムは1勝1分け8敗(勝ち点4)でグループ最下位が確定したが、日本とのアウェー戦で引き分けという新たな記録をうちたてた」と報じている。

 また、「スポーツ朝鮮」は「先日のオーストラリアと試合に勝利してW杯出場を決めた日本は、この日、DF吉田麻也とDF山根視来を除く9名を入れ替え、39歳のGK川島永嗣をスタメン起用するなど、余裕を見せては先制点を許した」と伝え、試合の入り方や戦い方が定まっていなかったと指摘している。

 ベトナムの日本戦での得点は、2007年7月16日に中国で開催されたアジアカップ以来、15年ぶりの得点(4-1で日本勝利)だという。

 さらに、ベトナムが日本を相手に勝ち点を得たことも史上初。「スポーツ朝鮮」はパク・ハンソ監督が「新たな歴史を作り出した」と称賛している。

 いずれにしてもベトナムの善戦は、かなりインパクトがあったし、W杯本大会に向けて日本に課題を突き付けたとも言える。

 有終の美を飾れなかった日本は、これからどのようなチーム作りをしていくのか。改めて森保一監督の手腕が試される。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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