Yahoo!ニュース

元アスレチックス選手から聞いたコロシアムへの想い。オークランドからサクラメントへの移転発表で。

谷口輝世子スポーツライター
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 メジャーリーグのアスレチックスは4日、2025年から2027年までサクラメントの球場を本拠地とすると発表した。1968年から本拠地にしてきたオークランドでプレーするのは今シーズンで最後になる。移転の背景と、アスレチックスでプレーしているライアン・ノダ、アスレチックスのコッツェイ監督の話は4月6日に「アスレチックスのノダ選手にサクラメント移転について聞いた」という記事で発表した。

 移転の発表の翌日、アスレチックスは敵地デトロイトでタイガースと対戦した。タイガースにもアスレチックスでプレーしていた選手がおり、1968年からアスレチックスが本拠地としているオークランド・アラメダカウンティ・コロシアムへの想いを明かした。

 タイガースのヒンチ監督は、1996年にアスレチックスからドラフト3巡目で指名されて、アスレチックスに入団。98年にはアスレチックスからメジャーデビューし、2000年まで在籍した。ヒンチ監督はアスレチックス移転についての質問が出ると「質問してくれてありがとう。あそこでプレーする人、あのチームを追いかける人、ファンの情熱、コロシアムでプレーする喜び、あの組織のためにプレーする喜び、みんなが、僕の元チームメイトも、あそこでプレーするのが大好きなのだ」と話し始めた。

 移転の決断についてはヒンチ監督にはどうにもできないことだが、「私はファンがオークランドに何をもたらしているか、グリーンとゴールドを身に着けることは重要なことなのだということを理解している」と話し、移転については「これは、私の個人的な意見だが、オークランドからチームがなくなるということは、リーグにぽっかり穴があくことになるだろう」と述べた。

 ヒンチ監督はメジャー昇格する前に、サクラメントでもプレーした経験があり、コロシアムを惜しむ一方で、サクラメントについてもよい思い出があるという。「私は3Aのチームに入りたくなかったけれど、毎晩、1万人以上のお客さんがやってくるのは特別なことだった」と話した。

 もう一人、今季からタイガースでプレーするマーク・カナも2015年から2021年までアスレチックスでプレーした。そのうえ、オークランドに近いサンノゼの出身でもある。カナは「ファンがいかに情熱的かを知っているので、ファンの人たちを気の毒に思う。オークランド・コロシアムは特別な場所なんだ。歴史的な場所だし、僕も子どものころから、あそこにはよく行って育ってきたから、僕個人にとっても、ファンにとっても、チームがオークランドを離れるというのはつらいことだと思う。いつかこのときが来るんだろうなとは思っていた。今は、あそこで過ごした時間に感謝するしかない」と少年時代からの思い出を振り返った。

スポーツライター

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情をお伝えします。著書『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのかーー米国発スポーツペアレンティングのすすめ 』(生活書院)『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店) 連絡先kiyokotaniguchiアットマークhotmail.com

谷口輝世子の最近の記事