アスレチックスのノダ選手にサクラメント移転について聞いた。
メジャーリーグのアスレチックスは4日、2025年から2027年までサクラメントの球場を本拠地とすると発表した。1968年から本拠地にしてきたオークランドでプレーするのは今シーズンで最後になる。アスレチックスは2028年にラスベガスに移転する予定で、サクラメントへの移転は暫定的な措置だ。
サクラメントへの移転は、アスレチックスとオークランドコロシアムとの賃貸契約は今季までで、来季以降の契約交渉が合意に達しなかったという背景がある。米メディアのNBCベイエリアによると、オークランド側は3年間で6000万ドルというオファーを提示していたが、アスレチックスが拒否したという。(3年で6000万ドルという数字は、1年あたり2000万ドルという計算になる。メジャーリーグには年俸2500万ドル以上の選手は32人いる。トップクラスのメジャーリーガー1人分の年俸よりもやや低い金額が提示されたが、それでも合意しなかったということだ)
サクラメントでアスレチックスが使用する予定のサター・ヘルス・パークの収容人数は約1万4000人。現在、ジャイアンツの傘下3Aリバーキャッツが本拠球場としており、来季はアスレチックスと3Aリバーキャッツが共用することになる。
メジャーリーグ球団が、別のチームの傘下のマイナーチームが使用する施設に移転するという衝撃的なニュースだ。
そこで、アスレチックスのライアン・ノダ選手とマーク・コッツェイ監督にサクラメント移転について話を聞いた。
一塁手のノダはサクラメントの球場でプレーすることについては「グラウンドをメジャーリーグ並みにするためには、多くのリノベーションが必要になる。それをしてくれる限りは、僕はオーケーだ。メジャーリーグなのだから、それを理解してもらわなければいけない。もし基準に達していなければ、そのとき、僕たちは何かを言うことになるだろう」と言う。
ノダはマイナーリーグ時代にこのサクラメントの球場でプレーした経験があり、グラウンド、ロッカールーム、ダグアウトなど多くの場所を改修する必要があると指摘した。ノダは贅沢を言っているわけではない。メジャーリーグは、労使間で、球場における安全や食事の提供などさまざまなことを規定している。アスレチックスがマイナーの球場を使用するとしても、その基準を満たさなければいけない。
ノダは今季で最後になるオークランドのファンへの想いも明かした。「球場に来てくれるファン、特に毎日来てくれるファン、ライトの席に来てくれるファン、ホームゲームのたびに来てくれる熱心なファンがいるから、その熱心なファンがいなくなるのは間違いなくとても寂しいことだ。けれども、僕たちは何もできない」。
ちなみに、「ノダ」という名前は、日本では決して珍しい名前ではないが、ノは日系人ではなく「僕のおじいさんの名前で、キューバからのものだと思う」とのことだった。
また、コッツェイ監督は言葉を選びながら話した。「どんな施設になるのかわからない。メジャーリーグのクオリティになるだろう。メジャーリーグのクオリティでなければならない。そして、選手会がそうなるようにすると思う。バッファローでそうであったように、そうなるようにするだろう。でも、それは将来のこと。私はこのチームで、できるだけ多くの試合に勝つことに集中する」。
コッツェイ監督が「バッファロー」という地名を出したのは、ブルージェイズが傘下3Aの球場だったバッファローのグラウンドをホームとした時期があったからだ。これは2020年と2021年のシーズン途中までで、新型コロナウイルスの感染防止のためだった。ブルージェイズは、カナダをホームとする唯一のメジャーリーグチームで、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、アメリカとカナダとの国境の往来が制限されたためである。このとき、ブルージェイズはトレーニングができるスペースを拡張し、ナイターの照明灯を増やし、監督室、ロッカールームなどを応急処置的に改修したのだった。