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八重樫東「試合以降は自分の人生を全く考えてない」キャリア集大成で世界挑戦へ

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
全てスタッフ撮影

今月の23日、横浜アリーナでIBF世界フライタイトルマッチが行われる。チャンピオンのモルティ・ムザラネ(37=南アフリカ)に元3階級制覇王者の八重樫東(36=大橋)が挑戦する。

今回の試合は、約2年半ぶりの世界挑戦となる。

アマチュアボクサー時代から交流がある著者が、試合に向けてインタビューした。

世界戦の衝撃発表

ーーー急に決まりましたね。

八重樫:もともと水面下では話がありました。スーパーフライ級かフライ級でチャンスがあるかもって。

ーーー今年の年末ですね。

八重樫:たまたま年末に照準を合わせていた時に「IBFでフライ級でチャンスがあるぞ」という話を受けました。

ーーーなるほど。衝撃発表でした。

八重樫:誰も気づいてなかったと思いますが、フライ級でランキングに入っていたんですよ。知らなかったでしょう?

ーーー知らなかったです。

トリプル世界戦があると発表されて拳四朗、村田諒太、あともう一人という話は聞いていましたが。

八重樫:伊藤雅雪か、比嘉大吾復帰戦か…。まさかの八重樫(笑)

ーーーきたー!って感じですね(笑)

八重樫:やったでしょ。

ーーーずっとスーパーフライ級でやっていて、フライ級に下げる影響はありますか?

八重樫:スーパーフライ級も楽だったので、減量は問題ないです。

ーーー減量は何キロぐらいしますか?

八重樫:8キロぐらいですね。

ーーーモチベーションはどうですか?

八重樫:モチベーションはあります。世界戦は久しぶりですし、今回は挑戦者ですから。それに、世界戦の雰囲気好きなので。これから少しずつ気持ちを上げていきます。

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モルティ・ムザラネについて

ーーー今回の相手ムザラネについてはどう思いますか?

僕も、9月に行われたフライ級タイトルマッチ黒田雅之(川崎新田)VSムザラネ戦を観ました。捉え所がない選手ですよね。

八重樫:ちょうどその時解説をしていました。戦うと思ってなかったので、そういう視点で見ていませんでしたが、やりづらい選手という印象です。

ーーーここのところ負けてないですよね。

八重樫:2敗ぐらいです。ドネアに負けてから負けてないですね。

ーーーカシメロ、テテにも勝っている。今回の作戦は?

八重樫:それは言えない(笑)どういう勝負になるかわからないから、風を感じて戦います。

ーーーでは、普段通りの自分のスタイルで戦うということですかね。

八重樫: それが一番ですね。後は試合まで怪我をしない事、1日1日の練習をきっちりこなしていく事ですね。

最後のレジェンド

ーーー年齢的なところを感じたりしますか?

八重樫:感じるよ!疲れて、元に戻らない。

ーーー回復が遅いということですかね。

八重樫:まぁ、しょうがないんですけどね。それも含めて、日常の練習をコントロールしていくことが大切ですね。

ーーー内山さん、山中さんも引退して、最後のレジェンド的な存在ですよね。

八重樫:悪あがきしてるよね(笑)こんなに長くやると思っていなかったです。

ーーー今、プロ何年目ですか?

八重樫:プロ15年目くらい。

ーーーすごいですよね。プロデビューから、あれよあれよと3階級制覇。すごくないですか?

八重樫:どうなんだろうね。引退してからなら「あぁ、俺頑張ったな」ってなりますけど、今は現役だから、ムザラネをぶっ飛ばすことしか考えてないですね。

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ボクシングスタイル

ーーー八重樫さんはアマチュア経験豊富ですし、オールラウンダーですよね。アマチュアの時はボクサーファイターよりでしたよね。

八重樫:プロでの経験から、攻撃型になりましたね。スタイルは、その時のメンタルによって左右されることもあるから。

その試合になってみないと、どういう自分が出るかわからない。

ーーー練習で一番意識することはありますか?

八重樫:体の使い方ですね。瞬発力を高める方法とか。

ーーーSNS見るとキャンプとかで走りこみしてますよね。

八重樫:死んじゃいますよ。若い選手は寝れば回復しますけど、俺は氷当てて一生懸命ケアしてボロボロになってやってたけど。

「こいつらには負けない」ってやってたからいい刺激になっていました。

ボクシングは趣味

ーーーボクシングを始めたのは?

八重樫:高校1年生からですね。

ーーーボクシングは好きですか?いろんな選手に聞くと嫌いでやってる人も多いんです。

八重樫:好きですよ。内山さんの言葉を借りると「ボクシングは趣味」だから。好きじゃなきゃできないでしょう。

ーーー今までのキャリアで一番嬉しかったのは?

八重樫:高校三年生、インターハイ優勝での優勝ですね。

ーーーずいぶん昔ですね(笑)

八重樫:瀬戸口との決勝戦。一番嬉しかった。

井岡一翔について

ーーー井岡選手との統一戦とかもありましたね。4階級制覇した彼と、またやりたいですか?

八重樫:やりたいですね。そこには面白さを見出せます。

ーーー初戦の時、覚えていますか?すごく競っていましたね。

八重樫:あの試合があったから、今があると思います。

ーーータイトル取っていきなり統一戦。守ろうとか思わなかったんですか?

八重樫:その時しかできないという感じだったから。井岡くんも減量きつくて上げる話もあったので。

ーーー今も活躍していますが、ライバルという感じですか?

八重樫:井岡くんとしては「八重樫さんとは終わりましたよ」という感じでしょうけど、「チャンスがあったらやってくれよ」と思います。

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大橋ジムについて

ーーー大橋ジムを選んでプロ生活を歩んできましたが、環境は自分に適していますか?

八重樫:このジム選んでよかったなと思うことはたくさんありますね。

ーーーどういう点が?

八重樫:会長の方針ですね。「こういうトレーニングしてみたいんですけど」「やってみな」と後押ししてくれる所ですね。

ーーーチャレンジを後押ししてくれるということですね。

八重樫:そうですね。マッチメイクも基本チャレンジマッチ。挑戦者の気持ちで試合に望めるので。米倉会長の流れを汲んでいるんでしょうね。

ーーー大橋は独特の団結力がありますよね。

八重樫:そういうのは会長が意識的にやっている部分もありますね。それに、井上尚弥の存在も刺激になって、ジム全体にいい流れができていると思います。

今後のボクシング

ーーーもちろん今は世界戦だと思いますが、今後の展開についてどう考えていますか?

八重樫: 23日以降は自分の人生を全く考えていないです。

ーーー予定を入れていないということですか?

八重樫:入れられないですよね。どうなっているか分からないので。俺の人生はとりあえず23日で一回終わるんですよね。

ーーー次の事とかも全く考えない。

八重樫:そうですね。白紙です。

ーーー今までやってみたかった選手いますか?

八重樫:ビロリアとかですね。フライ級の時。

ーーー八重樫さんに取って戦うモチベーションは何ですか?

八重樫:ボクシングが好きだから。自分の人生作ってきたものだから、そう簡単には終わらせることはできないですね。

ーーー今、社長やったり、カフェやったり大変ですよね。

八重樫:戦い続けるしかないですよ。自分の武器を使ってやります。何かしらでボクシングに、恩返ししていきたいですね。

ーーー最後に試合に向けて意気込みを聞かせてください。

八重樫:同い年ですからね相手が。

ーーーそうですよね。モチベーション上がりますよね。

八重樫:だから勝ちます。負けたら引退とは言いませんが、そういう気持ちもある中で、楽しんで試合に向かいたいなと思います。

37歳ですからね。親父ファイトですよ。

ーーーシルバータイトルマッチ(笑)

八重樫:それ会長が言ったんですよ(笑)37年、同じ時間を過ごしている選手ですからね。負けたくないですよ。

インタビューをして、今回の試合に向けての意気込みを聞けた。いい意味で肩の力が抜けて、モチベーションも高いようだ。

プロキャリア16年、アマチュアのキャリアも含めて20年以上のキャリアになる。その集大成を試合にぶつけてほしい。

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元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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