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鉄道の日に自衛隊「装甲車」輸送の貨物列車が走る! 低床貨車「コキ73形」の活躍でXではトレンド入り

鉄道乗蔵鉄道ライター
過去に運行された自衛隊機材輸送列車(写真AC)

 2024年の鉄道の日、10月14日、普段はほとんど見られない貨物列車の画像がX(旧ツイッター)上に投稿され話題となった。電気機関車にけん引された貨車に乗せられていたものは自衛隊の装甲車。仙台貨物ターミナル駅から東京貨物ターミナル駅まで輸送されたとみられている。

 防衛省では2022年5月19日に国土交通省で開かれた「今後の鉄道物流のあり方に関する検討会」では、「自衛隊の輸送力の向上のため、鉄道輸送のさらなる活用」を求めている。これに対してJR貨物側も2024年5月13日に「今後の鉄道物流のあり方に関する検討会」中間とりまとめに対する達成状況を発表。自衛隊輸送については、「新たな社会的要請への対応」が課題とし、「2024年度に実施予定の大規模演習における貨物鉄道利用に向けた」打ち合わせを行うとされていた。

 こうした流れの中で、10月14日には1台の96式装輪装甲車が搭載されたコキ73形2両を電気機関車がけん引する貨物列車が運行された。コキ73形は、国際海上コンテナで多用される背高(ハイキューブ)コンテナの国内での鉄道輸送を可能にする目的で小径車輪を使用して車体中央部を低床化したコンテナ車として2016年に1両が試作。その後、2022年に3両が増備されていた。コキ73形が運行される機会は珍しく、しかも今回は積み荷が自衛隊の装甲車だったことからX上では一時トレンド入りを果たしていた。こうした低床貨車が活用できれば、輸送が可能となる自衛隊装備品の幅も広がりそうだ。

 今回の装備品の輸送は装輪装甲車であったが、石破首相は、首相就任前の各紙インタビューで自衛隊戦車の鉄道輸送の可能性についても語っていることは筆者の過去記事(「有事の際に戦車を運ぶのは鉄道」 鉄道ファン、石破茂首相誕生で期待高まる地方鉄道の存続・活性化)(ネット上で賛否騒然!自衛隊戦車の鉄道輸送 国交省は検討会で「建築限界内で運べるのでは」と否定せず)でも詳しく触れている。2022年5月の国交省の検討会では、国交省側も当時の鉄道局田口鉄道事業課長も戦車輸送について、「実際に図ってみると、戦車の幅が貨車の幅よりも広いものの、建築限界の中におさまっているので、専用の板のようなものに乗せれば運べるのではないかという議論もある」とその可能性について否定はしていない。

(了)

鉄道ライター

鉄道に乗りすぎて頭の中が時刻表になりました。日本の鉄道全路線の乗りつぶしに挑戦中です。学生時代はお金がなかったので青春18きっぷで日本列島縦断修行をしてましたが、社会人になってからは新幹線で日本列島縦断修行ができるようになりました。ステッカーやTシャツなど鉄道乗蔵グッズを作りました。

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