トランプ大統領の謎ワード「コヴフェフェ」の商標登録出願状況について
「トランプ氏の謎の単語”covfefe”スウェーデンの企業家が商標権取得」というニュースがありました。「ドナルド・トランプ米大統領がツイッターに投稿し、ネットユーザーの間で話題となっている意味不明の単語”covfefe”の商標権を、スウェーデンの企業家が取得したことが分かった。」ということですが、出願しただけであって、まだ商標権を取得したわけではありません(出願と登録を混同するのは、商標に関するメディア報道あるあるです)。
トランプ氏のツイートにおける”Despite the constant negative press covfefe”という文脈から考えるにcoveregeの打ち間違いなのでしょう(rもgもfキーの隣にあるので)。まあよくあるケースですが、covfefeという言葉の意味不明感と発音しにくさがうけたということかと思います。日本でも2ちゃんねる等で変なカナ漢変換間違いが流行ったりするのと同じです。
さて、covfefeの出願状況をEUIPO(欧州知的財産庁)が提供するデータベースTMViewで検索して見ると、上記記事のものも含めて3件が出願されていました(タイトル画像参照)。いずれも出願日は5月31日なので、トランプ氏が当該ツイートをした当日に出願されています。
上記記事のスウェーデンの個人は被服、珈琲、広告を指定商品にしており、加えて、スイスでは被服を指定商品にして法人が、イギリスではビールを指定商品にして個人が出願しています。日本を含む多くの国では出願から公開まではタイムラグがありますので、他にも出願されている可能性はあります。なお、商標権が効力を持つのはその国の中だけですから、仮に登録されても、その国以外でのビジネスには影響を及ぼしません。
不登録事由はあまり想定できないので、このまま登録されるのではないかと思いますが、このネタが今後も流行り続けるのだろうかという問題があります。ネタとして終わっていれば商標権を維持していてもほとんど意味がありません(まあ、ある程度の規模の事業を行なっている人にとっては商標登録出願の費用はたいしたものではないのでそのリスクも踏まえた上での出願でしょう)。
もうひとつのリスクとして、トランプ大統領が「covfefeの権利は私にある」と主張して異議申立する可能性もゼロではないかと思います(参考過去記事:「ドナルドトランプ氏の俺様商標戦略について」)。
【追記】covfefe.comのドメインも既に取られており、COVFEFEシャツ販売サイトに転送されます(速っ)。おそらく米国の個人が運営していると思うのですが、米国の商標登録出願は検索可能になるまでちょっと時間がかかるので、米国で出願が行なわれているかどうかはまだわかりません。