今年も受賞者ゼロが濃厚…ノーベル賞に対する韓国の根深すぎる“コンプレックス”
今週は「ノーベル賞ウィーク」ということで、各部門のノーベル賞受賞者が次々と発表されて世界中で話題を集めている。10月5日に発表された文学賞にカズオ・イシグロ氏が選ばれ、日本では特に注目された。
ただ、科学部門で期待されていた日本人の4年連続受賞は叶わず。来年以降に期待したいところだが、「ノーベル賞ウィーク」が終わろうとしている現在、落胆を隠せないのが韓国だ。
有力候補もいたが念願叶わず
今年も受賞者は現在まで0人。特に韓国が落胆したのは、10月4日の化学賞の発表だろう。というのも、成均館大学のパク・ナムギュ教授が化学賞の候補として名前が挙がっていたからだ。
パク教授を化学賞の候補としたのは、毎年有力候補となる学者を選定しているクラリベイト・アナリティクス。韓国人がその候補に挙がるのは、2014年に基礎科学研究院ユ・リョン研究団長以来だった。
ただ、韓国は科学分野のノーベル賞を受賞したことがない。日本はもちろん、中国も科学分野のノーベル賞を受賞しているだけに初の受賞も期待されたが、またもや念願は叶わなかった。
科学誌『Nature』が厳しく指摘
それにしても、なぜ韓国からは科学部門のノーベル賞受賞者が生まれないのだろうか。
韓国は科学分野に対して研究開発費を大幅に投入している。韓国は国内総生産(GDP)比のR&D投資が4.29%(2014年)で、断然の世界1位だという。日本は3%半ば、アメリカ3%以下、中国は2%強、ヨーロッパは2%以下だ。
しかし、その成果が表れていないのが現状なのだが、世界的権威を持つ科学誌『Nature』の忠告も厳しい。要約すると、韓国に「お金ではノーベル賞を得られない」と厳しい指摘をしている。
また、韓国の東大といえるソウル大学の混迷も一因かもしれない。
韓国国内ではソウル大学の世界大学ランキングが下がり続けていることが話題となり、教授や施設の質が問題視されたりもするが、世界的な学者たちはより核心的な問題があるとダメ出ししていた。
(参考記事:ノーベル賞受賞者など「世界的な学者」が指摘したソウル大学を蝕む“核心的な問題点”とは)
科学部門が駄目なら平和賞に…
そんな現状があるからか、韓国ではノーベル平和賞への関心も低くない。実際に韓国唯一のノーベル賞も、2000年に故・金大中元大統領が受賞したノーベル平和賞だ。
去る9月に訪韓したドイツの元首相が「(元慰安婦の)おばあさんたちがノーベル賞候補として提案されている。私もこれを積極的に支持する。おばあさんたちは人権を実現している方たちだ」と発言していたように、韓国では「元慰安婦にノーベル平和賞を」という発想が以前からある。
(参考記事:慰安婦問題言及に韓国人女性との不倫説まで…ドイツ前首相に翻弄される韓国)
さらに今年に入ってからは、朴槿恵前大統領を罷免に追い込んだ「ろうそく集会」をノーベル平和賞にしようという動きまであったのだから驚きだ。ソウルのパク・ウォンスン市長も「ろうそく集会がノーベル賞候補になれるよう、関連資料をノーベル賞候補の推薦権のある国会に伝達する」などと話していた。
たしかに平和賞は他のノーベル賞と異なり、団体も授与対象となっているが、現実的には難しいという指摘が尽きない。
天才の誕生を待つしかない!?
そうなると期待されるのは個の力、つまり偶発的に誕生する一人の天才に期待するしかないだろう。ただ、韓国で注目を集める“天才”は、結果的には「天才ではなかった」というパターンで終わることが少なくない。
過去には、ノーベル賞間違いなしとまでいわれたファン・ウソクの捏造事件がある。クローン研究者として胚性幹細胞(ES細胞)の研究に成功したとされたが、後に論文の捏造、研究費の横領が発覚し、学者としての表舞台から追放されたのだ。
そんな教訓が生かされることなく、2015年にも“天才少女”騒動が巻き起こっているが、それも過度な天才待望論が生んだ悲劇かもしれない。
(参考記事:ハーバードとザッカーバーグが惚れ込んだ頭脳!? 韓国の“天才少女”騒動)
いずれにしても、期待されていたノーベル化学賞での念願が叶わず、今年も受賞者ゼロで終わりそうな韓国。「来年こそは」と元気を取り戻すまでには、少し時間がかかりそうだ。