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羽生善治九段(50)100期挑戦に近づくか? 梶浦宏孝七段(26)夢つかめるか? 竜王戦本戦対局開始

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

「それでは時間になりましたので、梶浦先生の先手番でお願いします」

 7月9日10時。東京・将棋会館において第34期竜王戦本戦▲梶浦宏孝七段(4組優勝)-△羽生善治九段(1組4位)戦が始まりました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 対局前の振り駒の結果「と」が5枚出て、先手は梶浦七段と決まりました。

 梶浦七段は初手を指す前にしばし瞑目。羽生九段もそれに合わせて目をつぶりました。

 梶浦七段は初手、7筋の歩を一つ進め、角道を開けました。消費時間は1分です。

 羽生九段は2手目、ゆったりとした手つきで8筋、飛車先の歩を伸ばしました。

 進んで戦型は角換わり。持ち時間5時間の戦いが始まりました。

 羽生九段は半袖シャツ姿です。

 羽生九段は本棋戦の主役の一人としてずっと活躍を続けてきました。2017年には復位を果たし竜王位7期目。永世竜王の資格を得ています。また通算99期目のタイトル獲得となりました。

 羽生九段は2018年には竜王位保持者、昨年2020年には挑戦者の立場として七番勝負に登場。結果はいずれも敗退で、タイトル通算100期達成は持ち越しになっています。

 羽生九段は今期、1組4位という成績で本戦に進みました。

 梶浦七段は今期、4組で優勝しています。

 ランキング戦で3期以上連続優勝は木村一基現九段、永瀬拓矢現王座、藤井聡太現二冠に次いで4人目となります。

 梶浦七段はランキング戦3期優勝の昇段規定をクリアして5月6日に七段に昇段したばかり。また7月6日に誕生日を迎え、26歳になったばかりです。

 梶浦七段は前期、本戦で4勝と快進撃を見せました。しかし準決勝で羽生九段に敗れています。

 両者はその1年前以来の対戦となります。

 梶浦七段は今期本戦もここまで2勝。「竜王戦ドリーム」の途上です。

 今年度成績は、羽生九段は4勝4敗。直近の対局は叡王戦九段戦で、郷田真隆九段に敗れています。

 梶浦七段は今年度8勝3敗。現在は5連勝と好調です。ABEMAトーナメント(非公式戦)では予選を勝ち抜き、エントリーチームの一員として、その実力を見せています。

 明日10日は山崎隆之八段(1組3位)-藤井聡太二冠(2組優勝)戦がおこなわれます。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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