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相次ぐ食品の産地表示問題 なぜ『スシロー』の天然本鮪はインド鮪だったのか?

山路力也フードジャーナリスト
『スシロー』で「天然本鮪」「九州産うなぎ」の産地表示に間違いがあった。

『スシロー 蟹江店』でメニュー表示と使用食材に相違

スシローはメニュー表示と食材の違いを謝罪(あきんどスシローホームページより)
スシローはメニュー表示と食材の違いを謝罪(あきんどスシローホームページより)

 人気回転寿司チェーン『スシロー』を展開する『株式会社あきんどスシロー』(本社:大阪府吹田市江坂町1-22-2/代表取締役:堀江陽)は、『スシロー 蟹江店』(愛知県海部郡蟹江町舟入1-140)で販売した2種類の商品で、メニュー表示と実際に使われていた食材に相違があったと発表した。

 具体的には「天然本鮪中とろ(税込165円)」にてインド鮪中とろを使用、「九州産うなぎ(税込330円)」にて中国産うなぎを使用していたことが判明。あきんどスシローは販売期間中に対象店舗で対象商品を購入した人に対して、購入金額の返金で対応するとしている(参考資料:株式会社あきんどスシローHP)。

9ヵ国もの産地のマグロを使い分けている

『スシロー』は回転寿司チェーンの中でもマグロに対して力を入れている。
『スシロー』は回転寿司チェーンの中でもマグロに対して力を入れている。

 通常、『スシロー』で使用するマグロは国産のほか、中国、台湾、韓国、オーストラリア、マルタ、スペインなどのものをメニューによって使い分けており、これらの産地は全てホームページ上で公表されている(参考資料:株式会社あきんどスシローHP)。

 今回、間違って販売されていた2月23日からの期間は、期間限定の「絶対王者スシローの鮪」フェアの開催期間と一致している。このフェアでは通常は使用していない大間産天然本鮪をはじめ、アイルランド産天然本鮪や天然インド鮪などを使用したマグロメニューが14種類用意されていた。つまりこの期間『スシロー』では、マグロだけで9ヵ国もの産地のマグロを使い分けていたことになる。

 同様に「九州産うなぎ」も期間限定メニューとして投入されているもので、通常メニューの「うなぎの蒲焼き」は中国産を使用している。『スシロー』はセントラルキッチンではないため、マグロなどの鮮魚は原則として店内で切り分けて提供されている。そこで間違いが生じることはあり得ないことではない。

なぜマグロが間違って提供されたのか?

 『スシロー』は数ある回転寿司チェーンの中でも、マグロに対して力を入れていることで対外的にも知られているブランドだ。その命とも言える看板商品のマグロで、組織的かつ意図的な産地偽装や誤表示を行う事は合理的ではなく考えにくい。

 今回、メニュー表示と使用食材に相違があった原因や理由を『あきんどスシロー』は明らかにしていないが、通常では扱わない限定メニューが組み込まれたことによる厨房での調理ミスか、限定メニューの欠品に対して店舗判断により代替品で提供したかのいずれかだろう。

 食品の産地偽装や誤表示のニュースが相次ぎ、食への信頼が失われつつある中での今回の発表。現在『株式会社あきんどスシロー』の親会社である『株式会社 FOOD & LIFE COMPANIES』は、『スシロー』『鮨酒肴 杉玉』両ブランドにおける大間産まぐろの調査を行っているという(参考資料:株式会社 FOOD & LIFE COMPANIESリリース)。

 外食への信頼とブランドへの信頼を損なわないためにも、『スシロー』には今回の問題の原因をしっかりと調査して発表してもらいたい。

※写真は筆者によるものです(出典があるものを除く)。

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フードジャーナリスト

フードジャーナリスト/ラーメン評論家/かき氷評論家 著書『トーキョーノスタルジックラーメン』『ラーメンマップ千葉』他/連載『シティ情報Fukuoka』/テレビ『郷愁の街角ラーメン』(BS-TBS)『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日)『ABEMA Prime』(ABEMA TV)他/オンラインサロン『山路力也の飲食店戦略ゼミ』(DMM.com)/音声メディア『美味しいラジオ』(Voicy)/ウェブ『トーキョーラーメン会議』『千葉拉麺通信』『福岡ラーメン通信』他/飲食店プロデュース・コンサルティング/「作り手の顔が見える料理」を愛し「その料理が美味しい理由」を考えながら様々な媒体で活動中。

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