米国アーカンソー州知事、イスラエル軍がハマス迎撃に使用のアイアンドームのミサイルを同州で製造へ
「近い将来、米国海兵隊からイスラエル軍まで全ての兵士が、アーカンソー州で製造された兵器を使用して市民を守る」
米国アーカンソー州知事で2017年7月から2019年7月までトランプ政権でホワイトハウス報道官を務めたサラ・ハッカビー・サンダース氏はイスラエル軍が武装組織ハマスからのロケット弾迎撃に使用しているアイアンドームのミサイルを同州で製造していくことを明らかにした。レイセオンとイスラエルのラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズが同州の東カムデンに3300万ドル(約50億円)を投資して新たな工場を設立して、イスラエル軍のアイアンドームとアメリカ軍向けの「スカイハンター」の迎撃ミサイル「タミル」を製造していくことを伝えていた。「近い将来、米国海兵隊からイスラエル軍まで全ての兵士らが、ここアーカンソー州で製造された兵器を使用して市民の貴重な生命を守ることになるでしょう」とも語っていた。
2023年10月7日に、イスラエルに向けて武装組織ハマスから大量のロケット弾が発射された。ハマスからの執拗なロケット弾攻撃は続き、イスラエル国防軍によるとハマスが攻撃してから2週間で7000発以上のロケット弾がイスラエルに向けて撃ち込まれており、現在でもロケット弾による攻撃が続いている。
ハマスからの大量のロケット弾の攻撃に対して、イスラエル軍は朝から晩までアイアンドームで迎撃してイスラエル領土をロケット弾から防衛している。
2023年10月13日には米国ブリンケン国務長官に次いで、オースティン国防長官もイスラエルを訪問してネタニヤフ首相、ガラント国防大臣らと会談し、イスラエルへの強力な支援を明らかにしていた。オースティン国防長官は自身の公式SNSで「アメリカ軍はすぐにイスラエル国防軍に対して弾薬や米国に在庫のあるアイアンドームのミサイルを含む軍事物資を供与します。これら重要な兵器はイスラエルが国土と市民を守るのに必要なものです」と語っていた。アイアンドームはイスラエルの軍事企業のラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズとイスラエル国防軍で共同開発した。米国防総省はイスラエルにアメリカにあるアイアンドーム用の迎撃ミサイル第1弾として「タミル」を既に供与したとブルームバーグは報じていた。
アイアンドームは地上にいる人たちや建物への攻撃を回避させダメージを最小化させることが目的。アイアンドームは上空のロケット弾やドローンをレーダーが察知すると、地上からミサイルが発射されて、地上の標的が攻撃されて大惨事になる前に、敵のロケット弾や攻撃ドローンを上空で爆破させている。昼間では太陽が出て明るいので、アイアンドームで迎撃しても白い煙が写っているだけだが、夜間でのアイアンドームでの迎撃は空が暗いので、迎撃してロケット弾を破壊しているシーンが鮮明である。
▼アイアンドームでハマスからのロケット弾を迎撃(昼間)
▼アイアンドームでハマスからのロケット弾を迎撃(夜間)
まだ続くハマスからのロケット弾攻撃に対抗するアイアンドーム
イスラエルでハマスからのロケット弾や攻撃ドローンを迎撃しているのが、そのイスラエル軍の「アイアンドーム」と呼ばれるミサイル迎撃システムである。2011年に完成した。2021年5月にも約3000発のハマスからのロケット弾や攻撃ドローンの9割を迎撃したと報じられていた。
イスラエルとパレスチナの間で衝突が起きて緊張関係が高まり、パレスチナ側の上空からのミサイルやロケット弾、攻撃ドローンが飛来してくると、アイアンドームで迎撃している。2023年4月7日にもパレスチナからのロケット弾34発中、25発をイスラエルのアイアンドームで迎撃したと報じられていた。
イスラエル国防軍は武装組織ハマスから2週間で7000発以上のロケット弾が発射された(550発以上はガザ領内で落下)ことを発表していたが、そのうち何発をアイアンドームで迎撃したかは現時点では明らかにしていない。武装集団ハマスからのロケット弾での攻撃は続いており、ハマスのロケット弾の在庫は尽きていないようだ。
イスラエルにはロケット弾や攻撃ドローン迎撃のためのアイアンドームやアイアンビーム、さらには地対空ミサイルなどが充実している。以前からパレスチナ、ハマスからの攻撃ドローンやミサイルを迎撃してイスラエルの国土防衛に大きく貢献している。
2022年2月にロシアがウクライナに侵攻してから、ロシア軍はイラン製軍事ドローンやミサイルなどでウクライナ軍や民間施設などを奇襲している。ウクライナ政府にとってはイスラエルが所有しているアイアンドームは喉から手が出るほど欲しい防空システムだ。今までにもゼレンスキー大統領らが何回もイスラエル政府にアイアンドームの提供を要請していた。だがイスラエル政府はウクライナにはアイアンドームは提供していない。
▼米国アーカンソーでイスラエル軍のアイアンドームのミサイルを製造していくことを発表する州知事