明日宇宙を滅ぼすかも!?「真空崩壊」がヤバすぎる…
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「この宇宙を滅ぼすかもしれない、真空崩壊」というテーマで動画をお送りしていきます。
宇宙は138億年前に原子より小さな存在として誕生して、現在も膨張を続けています。
そんな宇宙にも必ず終わりが訪れるといわれています。
宇宙の終りのシナリオには、「膨張を続けて冷えていく」、「収縮して1点につぶれる」などが考えられています。
その中には、「真空崩壊」という現象によってある日突然宇宙が消滅してしまうという可能性もささやかれています。
真空崩壊が起きると宇宙のすべてが無に帰してしまいます。
真空が崩壊するとはどういうことなのでしょうか?
それはいつ起きるのでしょうか?
宇宙の破滅を引き起こす恐るべき真空崩壊の謎に迫ります。
真空とは何か?
まず、そもそも真空とは何かあらためて考えてみましょう。
宇宙空間は真空といわれていますが、本当に何もないのでしょうか?
銀河の中にある、星と星の間の宇宙空間には1立方センチメートルあたり平均1個の原子が存在すると考えられています。
また、銀河と銀河の間には物質がほとんどありませんが、そのような空間にも1立方メートルあたり平均1個の原子が存在するとされています。
1立方メートルの中に原子がぽつんと存在しているということは、その原子の周りは何も存在しないということができるかもしれません。
このような何も存在しない空間は宇宙のような広大な空間だけではなく、より身近でミクロな世界にも存在します。
あらゆるものを構成する原子は原子核と電子から構成されていますが、原子核と原子の間には何も存在せず、その中身は意外とスカスカです。
例えば、水素原子の原子核を半径1mとすると、水素原子そのものの大きさは半径100kmの球体になります。
そのため、原子と電子の間には意外にも多くの何もない空間が存在し、このような空間も真空といってもよさそうです。
しかし、一見何もないように考えられる、原子同士の間の空間や、原子の中の空間では、電子や光子などの素粒子が、生まれてはすぐに消滅するということを繰り返しているとされています。
ここで、素粒子とは何か確認しておきましょう。
素粒子は物質を分解していったときにそれ以上分けることができない究極の粒子のことを指します。
素粒子物理学の元になっている量子力学によると、素粒子は「粒子の性質と波の性質を同時にもつ」とされています。
そして、素粒子のようなミクロの世界を支配する法則は私たちの目に映る世界とは異なってきます。
素粒子の世界のルールの一つとして、「時間とエネルギーを同時に決定することができない」というものがあり、ごく短い時間であればエネルギーの変動が発生します。
エネルギーは「ものを動かすのに必要な能力」のことです。
またエネルギーは場合によって、光や熱等にその形態を変化させます。
そして、実は素粒子はエネルギーがギュッとかたまって実体化したものなのです。
アインシュタインの相対性理論ではエネルギーと質量も同じく互いに変換可能であることが示されています。
実際に、原子力発電ではウラン原子核の質量の一部をエネルギーとして取り出しています。
すなわち、物質の質量はエネルギーの形態の一つといえます。
つまりエネルギーから素粒子が生まれたり、素粒子がエネルギーになったりすることも起こりえるということです。
このようにエネルギーから素粒子が生成されるため、真空におけるエネルギーの揺らぎは素粒子の生成や消滅を引き起こします。
つまり、空っぽの空間から素粒子がぽっと生まれ、すぐに消えるということが起こるのです。
素粒子物理学では、「真空」をエネルギーが最も小さい状態と定義します。
しかしこの真空は常に揺らいでいて、決して何もない空っぽの空間ではありません。
真空崩壊のメカニズム
ここで、私たちの宇宙の真空は本当にエネルギーが最低の状態なのかという問題があります。
もしかすると、私たちの宇宙の真空は極小のエネルギーをもつ状態「偽の真空」で、最低エネルギー状態「真の真空」ではないかも知れません。
2012年、世界最大の加速器「LHC」を使った実験で質量の起源に関わる素粒子「ヒッグス粒子」が発見されました。
ヒッグス粒子が作るヒッグス場をつぶさに調べると、私たちの真空は「偽の真空」である可能性があるようです。
もし、私たちの真空が偽の真空だとすると、いずれ真空崩壊が起こり、真の真空へと移行します。
真空崩壊は真空の「相転移」ともいわれます。
相転移というのは、身近な例で例えると水が液体から固体へ変化するように物質の状態が変化することです。
真空崩壊の場合、真空の温度は非常に低いので、量子力学的な揺らぎによって発生します。
真の真空の核ができると、周りの空間を巻き込んで光のスピードで広がっていきます。
宇宙はどうなるのか?
真空崩壊が発生すると、物質を構成する原子は素粒子レベルまで分解されます。
そして、宇宙の構造は全て無くなってしまいます。
恒星や銀河、星雲など形あるものは全て破壊されるのです。
そして、真の真空の領域は異なる物理法則が支配する別の宇宙になるのです。
例えば空間の次元の数が3次元ではないかも知れませんし、電磁気力や重力のような力が働かないかもしれません。
そのような世界では私たちの宇宙での物質は存在できませんし、人間のような生命は存在できないでしょう。
真空崩壊が起きる可能性
真空崩壊の起きる確率はどのくらいなのでしょうか?
私たちの真空が偽の真空だとして、その寿命を考えてみましょう。
宇宙は138億年前に始まり、宇宙には光より速く伝わるものは存在しません。
したがって、私たちが観測できる領域の大きさには限りがあります。
これを「観測可能な宇宙」といいます。
観測可能な宇宙の外で真空崩壊が発生したとしても、真空崩壊している領域は地球には到達しません。
その空間は地球から見ると光速を超えたスピードで遠ざかっているからです。
そうすると、観測可能な宇宙の中だけを考えればいいということになります。
標準的なモデルを使って計算してみると、観測可能な宇宙の中で真空崩壊が起きる頻度は、10の588乗年に一度となります。
これは宇宙が誕生してからの期間である、138億年に比べてもはるかに長い時間ですが、もしかしたらある日突然世界が消滅してしまうなんてことが起きる日も来るかもしれません。