住んで3年、ベルリンのここが好き!漫画家小栗左多里さんとダーリンに聞きました
観光地として、また起業家やアーティスト達の移住したい街ナンバーワンとして大きな注目を集めているベルリン。「ダーリンは外国人」の著者小栗左多里さんもベルリンの評判を聞き、2012年より夫トニー・ラズロさん、息子のトニーニョ君とこの街に引越し、新生活を始めました。
同書シリーズのドイツ発2冊目「まるっとベルリン3年目」発売にちなんで、住んでわかったベルリンの様子やお気に入りスポットを小栗さん夫妻に聞きました。 (Photo:norikospitznagel)
大人も子供も楽しめるお勧めスポット
ベルリンでお気に入りのスポットは、「マウアーパーク」と即答した小栗さん夫妻。理由は「大人も子供も楽しめる」からといいます。
「ベルリンで最初に住んだプレンツラウアー・ベルク(旧東ベルリン)にあるマウアーパークは、蚤の市を見てまわるのが好き。観客の前でカラオケを歌うイベントも行われていますよ。日本語そのまま”カラオケ”」
(注・「マウアー(壁)パーク」は、プレンツラウアー・ベルクとヴェディング(旧西ベルリン)を分断した壁跡地にある公園)
「観光地としては、ブランデンブルク門もイベントがやっている時に行くと楽しいですね」と小栗さんが言うと、
トニーさんもすかさず、
「僕はフンボルト博物館(自然博物館)がいいです。特殊な双眼鏡を使って恐竜の展示を見れば、その化石が生きてくるように見えます。小さい子どもが喜ぶし、まあ、『大きい子ども』も楽しめるかと」
「あと技術博物館もお勧めです。飛行機や汽車、IT関連の展示も豊富。でも大きな魅力の一つは、外の空間です。この博物館は使われなくなった貨物駅の一部分からできていますが、ビルの外に出て、そこの見物ができます。昔の線路や転車台のほかにも風車もあるし、メリハリもあっていいですよ」
ガイドブックにのっていない発見ができる旧東ベルリンの魅力
小栗さんは、ぜひ足を運んでほしい地域があるといいます。
「旧東ベルリンの中でもミッテやプレンツラウアー・ベルグ、クロイツベルグ、フリードリヒスハイン地域は特にお勧め。この地域はお洒落なお店が多くて驚くと思いますよ。
ガイドブックには載っていない素敵なインテリアやグラフィティがたくさんあって、歩くだけで楽しい。今まで何もなかった所に若い人たちがお店を作って、街を作っている感じ」
「でも5年もすれば、この地域の雰囲気はすっかり変わるでしょう。あまりにも人気で世界中から投資の対象になっていて、すでに大規模な開発は始まっていますから」
「この地域にはスターバックスもほとんどないと思います。もっと安くて、かっこよさもいろんな方向のカフェがいっぱいあるから。昔からある建物を使って、古い椅子やテーブルを活かしながら、新しい感じにしています。照明や家具なども含め、今まで見た事のないデザイン、そこにしかない雰囲気があるのが素晴らしいと思います」と、熱く語る小栗さん。
だから、今のうちにぜひ「整っていない」ベルリンを見て欲しいといいます。
ミッ テ地区の「ハッケシェ・へーフェ」も見ごたえがあると、小栗さん夫妻。1906年にオープンした8つの中庭を囲む国内最大の建物群。第二次大戦により一部 が破壊されたが、東西統一後の1993年に修復されました。
素敵なレストランやカフェ、アートギャラリーや映画館などが混在し、ミーティングポイントとしても人気があります。
「でも一番のお勧めはハッケシェ・へーフェの隣の『ハウス・シュヴァルツェンベルグ』です。昔の雰囲気がそのまま残っている最後の中庭と言われています。グラフィティで溢れていて、漫画やアートを扱う本屋さんも入っています」
クロイツベルク地区で小栗さん家族が好きな屋内マーケット「マルクトハレ・ノイン」は、100年以上の歴史を有する人気スポット。
地元産の旬の製品から作られるスローフードがコンセプトのこのマーケットは、毎週火曜日(小規模)、金曜日と土曜日(大規模)に60店以上の屋台が軒を連ねます。
ハイライトは2013年より始まった毎週木曜日の「ストリート・フード・サーズディ」(17時から22時まで)。普段は行列を作って食べ物を手に入れることに関心を示さないベルリンっ子も、このイベントに参加する(入場する)ために、30分でも1時間でも我慢して待つといいます。
屋内には日本をはじめイタリア、スペイン、台湾、ベトナムなどの屋台が所狭しと立ち並び、世界の食めぐりができます。
現在、小栗さん夫妻の話題の中心はトニーニョ君の教育。トニーさんは息子と一緒に月一回ゲームを興じる会に参加中。遊びながらエスペラント語を学べるとあってトニーニョ君も楽しく通っているそうです。
小栗さんも外国人となったベルリン生活。予告なしのデモに出くわし困惑したり、弱者や貧しい人に優しいドイツ人に出会ったりと、これからも小栗さん家族の新発見やハプニングは続きそうです。
取材協力