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昨季日本一の早稲田大学、新型コロナ禍の影響をどこで受けている?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
左から丸尾キャプテン、相良監督、横山。対面式の記者会見は今季初。

 昨季、大学日本一となった早稲田大学ラグビー部は、10月19日、埼玉・熊谷ラグビー場で日本体育大学を70―5と制し、加盟する関東大学対抗戦Aで開幕3連勝を飾った。

相良南海夫監督、丸尾崇真キャプテン、マン・オブ・ザ・マッチに輝いた横山太一が会見した。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い準備期間やシーズンが短縮されるなか、特異なマネジメントが求められている。会見ではその領域についても触れた。かじ取りの繊細さが伝わる。

 以下、共同会見時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

相良

「今日は熊谷で今年初めて人を入れた試合をするとお伺いして。ワールドカップの会場で、観客がいるなかゲームができてよかった。過去の2戦(前年度の入れ替え戦出場校にやや苦戦)よりはまぁ自分たちのテーマに掲げていたことがある程度、表現できた試合だったので、そういった意味では及第点かなと思っています。ただ、取り切るところでまだ取り切れていないところ、ゴール前で(試合終盤に)外国人が3枚いるなかトライを許してしまったのは、今後を見据えるとまだまだ課題。この先タフなゲームになると思いますので、練習で改善したい」

相良

「対抗戦第3節。無事に迎えられたことを嬉しく思っています。対抗戦のなかで早稲田大学は1戦、1戦成長して日本一になることを目標に掲げています。アタック、ディフェンス共に仕留めの部分で課題があります。修正して、2週後の帝京大学戦に臨みたいです。きょうはありがとうございました」

横山

「チームといたしましても個人といたしましても、自ら仕掛けるところは前の試合よりもできたと思います。ただ課題はたくさんありますので、そこを修正して次に望んでいきたいです」

――司令塔団について。昨季まで4年間コンビを組んできた齋藤直人前キャプテン(現サントリー)、岸岡智樹(現クボタ)が卒業。レギュラーが入れ替わりました。現在の小西泰聖選手、吉村紘選手のコンビについては。

相良

「本来なら春、夏でゲームをこなしていくところ、今年はコロナ禍でゲームができず、(対抗戦で)ぶっつけ3試合。仕上がりという意味ではまだまだだと思います。ただ3試合を通し、悪くなっているわけではなく、彼らなりに色んな課題を感じながら1個1個クリアにしているとは感じます。とにかくいまは、2人に限らず本番でどれだけ経験を積んでどれだけ引き出しを作るか、です。点数、仕上がり具合は評価しづらいですが、1戦目より、2戦目、3戦目とよくなってはきている。それがこの先にどう影響するか、相手と見た(比べた)時にどうかはやってみなければわからない。…そういう感じです」

――先発予定だったフランカーの相良昌彦選手(相良監督の次男)はこの日、欠場しています。

相良

「ちょっと、粗相がありまして…。と、いうのは冗談です。金曜の練習でコンディションを崩しまして、出場させなかったということです。(復帰までは)少し、かかるかもしれません」

――防御網、攻撃中のブレイクダウン(接点)などで行動目標を掲げていたと思いますが、その内容については。

相良

「ディフェンスでは、ずっとやってきているように接点を前に持つ。そこでできたブレイクダウンにも圧力をかけて、最低でもスローボール、できればターンオーバーを狙うという目標を掲げました。その辺は1戦目、2戦目、3戦目とステップアップはしていると思いますが、改善の余地がある。この先さらにブラッシュアップしていきたい。

 アタックのところは、なかなかモメンタムを生む攻撃ができていなかったので、きょうはポッドのリンクをテーマにやりました。そう言った意味では、少しいい形でできた。

 掲げたテーマに対しては80点くらいかなという印象は受けています」

丸尾

「対抗戦から特にディフェンスで1戦1戦、成長しようということで、週ごとのテーマに向かって、今週に関してはディフェンスの上がり。2戦目よりもよくなったが、まだ課題はあると思います。アタックでは仕留めきるところは仕留め切る。チャンスを逃さないところにはこだわりたいです」

横山

「アタックではユニット間でのコミュニケーションが取れていないところがあるので、そこを修正したいです。ディフェンスでは後半、1本トライを獲られた。あそこで我慢ができる、ボールを取り返せるディフェンスをチームで作りたいと思います」

――選手起用やコンディショニングについて。

相良

「コロナの状況で、どうしても通常の強度のトレーニングがなかなかできていない。春のゲーム、夏合宿中のゲームができなかった。そういうなか、大なり小なり怪我が出ているなという実態です。怪我のところは想定外。ただ、寮にコロナを蔓延させてはいけないことは開幕前から決めていた。コロナの状況で発熱したら1~2週間は休まなければいけないのが常識というか、そういう(それを前提とした)オペレーションを(意識している)。直前にメンバーが思い通りに組めないことも想定して、柔軟に対応すべく準備しているつもりです。選手にも、『色々な組み合わせがある、誰が入っても同じようなプレーができるよう心がけて』と、言っては、います。それが実際にできるかは、これから作りあげていくしかない。この先も試合が続く。スキル、フィジカルに加え、動じない、適応できるチーム(を目指す)」

 冒頭で丸尾主将が話した通り、11月1日の第4節では大学選手権9連覇を経験した帝京大学と激突。以後は11月7日に筑波大学戦、23日に慶應義塾大学戦、12月6日に明治大学戦と上位を争いそうな相手との試合が重なる(東京・秩父宮ラグビー場)。対抗戦から大学選手権へ行けるのは5チームだ。

 会見では、帝京大学戦に向けた準備についても触れられた。

――次戦まで約2週間、時間があります。

相良

「ここまで出た課題を整理して、次の4試合で何をすべきかを整理。これからタフな試合があるので、コンディションも大事ですが、強度を保ったまま…まぁ、(隣に)選手がいるんであれですけど…(強度を)上げた練習をしていきたいです。覚悟をしてもらうように」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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